グランドキャニオンは一ヶ所だけではありません。それは色々なところで何度もお話ししています。国立公園のサウスリム*には約20か所のビューポイントがあり、どこもグランドキャニオンですがそれぞれ全く違うグランドキャニオンがそこには広がっています。
※国立公園はサウスリム(南の縁)とノースリム(北の縁)に分かれサウスが一般的。サウスリムの中にサウスエントランス(南入口)とイーストエントランス(東入口)がある。
※夕焼け@ヤバパイポイント
今回はそのビューポイントの幾つかをご紹介します。
先ず、位置関係を抑えておきましょう。サウスリムのビューポイントは大きく分けて
①ビッレッジ周辺:マーサー(Mather)、ヤバパイ(Yavapai)、ブライトエンジェル(Bright Angel )
②サウス⇋イーストを結ぶSR64の道のりとデザートビュー(Desert View)
③ハーミットドライブ(Hermits Drive)の3エリアに分かれます。
国立公園のウェブサイトに地図がありますのでご参照ください
https://www.nps.gov/grca/learn/news/upload/sr-pocket-map.pdf
このうち恐らく多くの方はビレッジのマーサーとブライトエンジェルそしてデザートビュ―を訪れます。それは大型バスが入れるのがこの3か所だけだからです。ですので、今回はそれ以外の場所を見て行きます。
【ビレッジ周辺】
ヤバパイポイント(Yavapai)
夕陽のポイントとしてご存知の方も多いのでは?この場所の夕陽はイイ。夕陽は陽が沈んでから30分後が最も空が美しいのはご承知でしょうか?ここには地質展示室(Geology Museum)があり、その西側に陽が沈みますので陽が沈むまでは西側に、沈んだ後は東側に移動すると素晴らしい夕陽のショーが2倍楽しめます! 間違いない!
【サウス⇋イーストを結ぶSR64の道のり】
リパンポイント(Lipan)
デザートビュ―からビレッジに向かうナバホ(Navajo)ポイントの次にある場所です。ここは最近とても人気になってパーキングに車が停められない時があるほどです。そもそもパーキングは10数台でしかも大きなRVは入れない小さな場所です。
Lipanはグランドキャニオンに関係が深いネィテブアメリカンの種族の名前です。ビューポイントには関係するネイティブアメリカンの種族の名前が多く使われています。
この場所は何といっても広がりが素晴らしい! 柵の無い場所を選んで崖の突端に出ると、そこには自分だけのグランドキャニオンが手を広げ、身体を包み込んでくれる。そこに吹く風の心地良さ…風でこころが浄化されることをこの場所で初めて知りました。
それにここは 野性の音が聞こえます。野性の音…それは“沈黙のことです”
観光客がいっぱい居てうるさくても、何故かここでは気にならない。全くの一人になれる場所なんですね。そして、ここは沈みゆく夕陽を見ても良いところ。夕方3時過ぎから夕日までいても全然飽きが来ない、場所です。
リパン
モラン(Moran)
リパンの西隣にあります。この名前はアメリカの画家トーマス・モランに由来します。モランは1871年のイエローストーン地区の地質調査に風景画家として参加、グランドキャニオンには1873年に訪れ、その絵がグランドキャニオンの名を知らしめる原動力となったといわれています。
その絵の如く、ここからの風景は静止画のように時が止まっている、そんな雰囲気の場所です。
人も少なく、崖に降りてゆく秘密のルートもあり(危険ですので無理はしないで…) とても優雅な場所です。
グランビュー(Grand View)
グランドキャニオンを作るコロラド川は東から西に流れますが、この場所は川がL字型に曲がる合流部に当たるため、西側のエリアと東側のエリアの両方の視界が望めるところから“全部が見える=GrandView”という名前が付けられています。
また、グランドキャニオンの渓谷に降りてゆくトレイルがあるので、少し降りるだけまた違う雰囲気を感じることが出来るのも特徴です。
さらに、簡易式ですがトイレがあるのも重要です。SR64は野生動物が出没するので制限速度が45マイルに設定されサウス⇋イーストは少なくとも45分は掛かります。この場所はその道のほぼ中間地点にあるのでトイレはとても助かります。
ヤキ(Yaki)ポイント
ここは一般車は入れずシャトルでのみ行けます。ただ、ここより西側のSR64道沿いにパーキングあるのでそこから30分ほど歩いてゆくことが出来ます。
ここもかなりプライベート感満載な場所でさらに20分ほど奥に行くとピクニック広場がありテーブルと椅子があるので持参したランチを食べるには最高の場所です。
この場所の特徴は何といっても 天空感! 空に浮かぶ雲の上で漂っている感覚が味わえます。
@ヤキポイント
【ハーミットドライブ】
この道は夏場(3月―11月)は一般車乗り入れ禁止でシャトルのみの利用です。サウス⇋イーストは車の往来が多く設備も柵のある場所やトイレなど観光地的なにおいが残りますがこのハーミットは全体的に野性味が残るのが醍醐味です。
ホピ(Hopi)ポイント
この場所のスケール感は素晴らしい!丸1日他の場所を見て来てそろそろグランドキャニオンも飽きたかなーと思ってもこの場所に来ると初めて見た時のような「おー!すげー」って言葉が思わず出る場所。ヤバパイ(Yavapai)ポイントと並んで夕陽鑑賞の場所としてSNSで有名なのでその時間には人で埋まります。でも、人なんて関係なくなるぐらい確かにここの夕陽は絶品です。
ハーミットレスト(Hermit Rest)
1920年代この場所から谷間を下ったところにホテルがありそこまで馬で行くツアーが行われ、今もその道はHermit Trailとして利用されています。とても野性味あるトレイルです。
ここの特徴は1914年建立の石積みの小屋。こじんまりとしていますが中に入るとひときわ目を引くススで黒くなった石積みの暖炉。時を重ねたものが放つ重厚感と包む込むような優しさは思わずすり寄ってしまいたくなる。9月半ばにはすでに肌寒いので暖炉に火が入っているときもあり、そんなときに暖炉の前に座りながらコーヒー飲んで…グランドキャニオンを眺めると時代を超えた無限のひと時を感じることが出来る至福のひと時です。
@ハーミットレスト Photo by Koh
グランドキャニオンのその他の過ごし方は下記のウェブサイトを
https://www.thedeepearth.com/grand-canyon