(※掲載画像は、NHK公式サイトからのダイレトリンクです)
『17才の帝国』は、NHK総合「土曜ドラマ」枠で放送されたテレビドラマです。
202X年の日本が舞台で、その日本は、超高齢化と失業率の上昇にあえぎ、経済の没落からサンセット・ジャパンと世界中から揶揄されるような危機的な状況になりました。
そんな日本を改革するため、政府はAIを駆使して若手リーダーに地方都市を統治させる計画『プロジェクト・ウーア』を発表します。
Utopi-AI通称『ウーア』は、3つの塔にそれぞれ納められた経済成長を重視する『トリ』、生活文化を重視する『ヘキサ』、持続可能性を重視する『ノナ』の3台の量子コンピュータから構成されており、政治AI『ソロン』がそれらを統括しています。
そしてソロンは、青波市の初代総理大臣に17才の高校生・真木亜蘭(演:神尾楓珠)を選出し、その他3人(財務経済大臣・厚生文化大臣・環境開発大臣)の若き閣僚も選出します。また、真木直々のオファーで総理補佐官に、同じ高校生の茶川サチ(演:山田杏奈)を任命します。
真木は、初の閣議で青波市議会を廃止し、自分達の政治の透明性を担保するため、各自の執務や閣議をライブ中継し、真木自身の支持率が30パーセントを切った場合は、総理の職を罷免されるというソロンからの提案を受け入れます。そして市議会は住民の8割近くが真木の提案に共感したことから廃止されてしまいます。
議会制民主主義を否定するその早急な都市改革を『17才の帝国』と、批判され真木は支持率を落とすが、改革派の財務経済大臣・雑賀すぐり(演:河合優実)や厚生文化大臣の林完(演:望月歩)の後押しを受け改革を推し進め、他方で市井の人々との交流から商店街の再開発の見直しや、50年前に途絶えてしまった『青波ランタン祭り』の復活にも尽力します。
しかし……………!
と、いうような内容で、物語は始まります。
すごく面白いドラマでした。
議会制民主主義自体を、批判するつもりはありませんが、無知で愚鈍な政治家が多いこの日本においで、最良な政治体制なのだろうか?
また、日本の政治は少なくとも腐敗していないと思うが、政治家自身の腐敗は、世紀末的だと思う。
そんな思いから、NHKがちょっと踏み込んテーマをドラマ化しそうなことに、期待したのですが、結末が期待していたことと異なり、また、話数が5回と少なく(?)作者が本当に伝えたかった所は、どの部分なのだろうかと考えてしまいます。
しかし、ウーアを形成している3つ塔。塩塚モエカが歌う『声よ』。すごくミステリアスで、何故かシンボリックな存在感。腐敗した現在の政治家への問題提起。期待していた(しすぎていた?)だけに、ちょっと消化不良な感じの結末。もう少しその未来を描いてもらえれば、納得したかも…。
例えば…。
ここから先はネタバレです。
①暴走したスノー(17才のユキ)は、あれで終わり?あの事件以降、善人にも悪人にもなれたのに…。
②日本国の内閣総理大臣になった平清志(演:星野源)。総理大臣になって何をする?
恐らく善政を行うという予想はするが、ソロンに選ばれなかったので、悪政を布いて日本政治は変わらないという、バッド・エンドも面白い。
③真木亜蘭が去った後、市民オブザーバーの導入など新たな政策を取り入れ、真木イズムが継承され、『青波ランタン祭り』が復活したのは良しとしても、あれが住民の幸福度を基軸とするウーアの出した答えなのだろうか?または過程なのであろうか?
④ウーアを構成する3つの量子コンピュータ同士での自己主張があり、幸福度という、観点からソロンがどのように取捨選択をするのか、制作側の意図でも構わないので、理想と思える道しるべを提示して欲しかった。