私は、かつてエスモード東京に通っていました。
今は、旦那と一緒にアパレルブランドをやっています。

エスモードの評判があまりよろしくないので、エスモードについて書こうと思いました。

エスモードは、学校法人ではありません。
学割は効きません。

就職率が高いのがガセだというネット上の噂。
高いだけ。
等々悪い評判が、載っています。

でも本当にそうなのか?

私の正直な気持ちとしては、「感謝している」です。

本当のところ、まずい点は沢山あります。
でもいいところも沢山ある学校です。


いい点

パターン力がつく(基礎力が圧倒的に身につく)
卒業までにほとんどのものが作れるようになる
自分が作りたいものをすごく考えさせられる
先生との距離が近い


悪い点

気位が高くなる
ニットやカットソーの知識が身につかない
日本の企業にコネが少ない
課題に追い込まれる


私はドロップアウト組です。
通ったのは2年。
それでも、ある程度のことはできます。

が、現場に出たら分からないことだらけ。
気位も高く、使いにくいやつと思われていたと思います。

それでも、なんとかアパレルを続けてこれたのは、エスモードのおかげ。

なんでだろう。
やめたのに。
なんで擁護するのだろう。


アパレル産業は、本当に商売としてとても難しく、かつ厳しい現場です。

あんなに頑張って課題こなしてなかったら、あの時やめてなかったら、もうとっくに心が折れていると思います。

2日寝れないなんてざらにある。
寝なかった。頑張ったからって、売れるわけじゃない。

売れたからって、評価されるわけじゃない。
評価されたからって、売れるわけじゃない。

アートでもない、
消費するだけのものでもない、
着てもらって、
愛してもらって、
何が基準で、
何が良くって、

続ければ続けるほど、分からなくなる。


馬鹿にされたり、けなされたり、
辛くて
泣きたくて
何度もやめようと思って

それでもやめられない。



なぜって、好きだから。

服が好き。
服を作るのが好き。
服のことばかり考えちゃう。
どこにいても、服見ちゃう。
考えちゃう。

本当アホかと思う。



服に携わってかれこれ、20年近く。
いろんな経験をして思ったのは、好きじゃなきゃ続けられない。
好きだけでも続けられない。

そんな私が思うのは、エスモードに対する感謝。諸先輩がたへの感謝。


気位が高くなるのは、こんだけやってきたという自信。
服のことを考え続けた時間がそうさせると思います。

でも現場に出たら、あなたの上にはうんざりするほどの時間を、
服屋という過酷な環境で過ごしてきた先輩がたくさんいます。

どんなに仕事してなさそうに見えても、
そんなんじゃ売れないと言われても、
辛く、悔しい思いをしても、
目の前の先輩は、それを経験してます。

実際、見えないだけなのです。

まだ若く、入りたてのあなたには見えない問題、
解決しなきゃいけない問題、
デザイン以外にも、パターン以外にもデザイナーの仕事はあるのです。

あなたの教育も課題の一つです。

やらせてもらえることは、嬉しいことです。
任せてもらえることは、嬉しいことです。
あなたが知らないことで、
見えないところで、
先輩たちは頭を悩ませています。

服を作っているのは楽しくないですか?

先輩は作ることより、売ることを考えていませんか?

売れなければブランドはなくなります。
これは確実になくなります。
どんなにかっこいいものでも、
素敵なものでも。
評価されていても。
本当になくなるのです。

先輩がしているのは、作ることではないかもしれません。
でも作るのは楽しいですよね?
なぜ先輩は売ることを考え、あなたは作ることを考えることができるのか?

あなたのこだわり、
あなたがしたいことと、
ブランドの方向性は合っていますか?

売れるものは何ですか?
売れなかったらどうなりますか?
もしサイズが合ってなかったら?
指示が間違っていたら?
自分が作った時のことを考えてください。
何十枚何百枚の服、間違ったまま作ったらどうなりますか?
全く売れなかったらどうなりますか?
責任は誰が取るのでしょう?

デザイナーは、重たい仕事です。

売れなきゃ自分のせい。
売れる売れないは、ちょっとの差。
パクったパクられた。
あそこは売れてる。売れてない。
本当に振り回される。

それでも、ブレずに心を折らずにやっていく。
何度も諦めて、
諦めきれず、

年齢がターゲットと離れれば離れるほど、分からなくなって。

下からも上からも突き上げられて。

自分の居場所をなんとか確保して、
頑張ったり、
頑張れなかったり、
迷って、
戦って、
コツコツ積み上げる。

目の前の先輩は、それをしてきた人たちです。


エスモードを卒業したてのあなた。
これから入るあなた。


必要なのは「謙虚」になることです。

分からないことは、分からないと言える強さを持ちましょう。
そして、そっと先輩に質問しましょう。
きっと心よく教えてくれるはずです。(追い込まれてなければ)

ダメだと言われたら、理由を聞きましょう。
なるべく、ゆっくりきける時に聞いてください。

きっと、目からウロコの回答が得られます。


偉そうなことを言っていますが、私はまさにできなかった人間です。
そのせいでその後、大変苦労しました。

あなたの努力を無駄にしないためにも、謙虚さはものすごい武器になります。

騙されたと思って、やってみてほしいと思う。
今日この頃。