International Film Festivals in the World -3ページ目

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05Sep
- Nevia (Biennale 20)
  『Nevia』3.5★（オリゾンティ部門）監督:Nunzia De Stefano製作国: イタリア一緒に暮らす妹や祖母のために学校に行かず毎日働く17歳のネビアが、一歩ずつ自分のために人生を切り開いていく物語。ネビアが逞しく生きる姿はかっこいい。どれだけ観ていても飽くことがない。妹の世話をしながら、毎日せわしなく働く。その姿に惚れ惚れする。彼女が闊歩する背中をハンディカメラが追いかけ、凛とした表情を寄りで捉える。そして最後に初めて、キラキラの満面の笑みを見せる。エンドロールが終わっても続いたスタンディングオベーション。拍手に包まれた会場で、ネビアはスクリーンとはまるで違って子供みたいに泣いていた。
04Sep
- LAN XIN DA JU YUAN (Biennale 19)
  『サタデー・フィクション』2.5★（コンペ作品）監督: ロウ・イエ製作国: 中国、日本、ドイツ舞台は第二次世界大戦が勃発する直前の、世界各国の諜報員が暗躍する東洋の魔都、上海。実在する「蘭心劇場」で巻き起こる愛と謀略の物語。『スプリング・フィーバー (2009)』監督最新作。
- Babyteeth (Biennale 18)
  『Babyteeth』3.5★（コンペ作品）監督:Shannon Murphy製作国: オーストラリア闘病中のミラが麻薬の売人のモーゼに恋に落ちる物語。難病と闘う10代の女の子をユーモアを交えて描き、笑いもしっかり、最後はもちろん感動させる。予定調和だけど良い。ラストシーンで時系列が少し戻る。ミラの人生で最高の瞬間。
- Moffie (Biennale 17)
  『Moffie』4★（オリゾンティ部門）監督:Oliver Hermanus製作国: 南アフリカ、イギリス1981年の南アフリカ。アパルトヘイト体制を守るために2年間の兵役についたニコラス。軍隊での残虐な行為に苦悶する中、ある一人の新兵に心を惹かれていく。音楽がオペラやクラシック、役者、画、バランスがいい。特に音楽は印象的で、セリフと音楽がしっかり重なっていた。通例音楽って情景や感情を強調するための演出。でも本作ではセリフも音楽の一部みたいにシンクロしてた。端的に（悪く）言うとミュージカル。歌うみたいにセリフ、感情が出てた。撮影時には音楽を流してないはずなのに。また、主役ニコラスのひきつった笑い方は自然で若者らしい心の戸惑いが溢れてる。さらに遠慮と気弱さとが相まって台詞もぴったり。こういうタイプの新人を抜擢したのかなのかと思いきや、Q＆Aでは、作品からは想像もつかないほど堂々とした自信に満ち溢れた青年だった。
- Atlantis (Biennale 16)
  『Atlantis』2.5★（オリゾンティ部門）監督:ヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチ製作国: ウクライナ東ウクライナ、PTSDに苦しむ元兵士セルゲイが戦死した死体を掘り起こすボランティアに参加し、戦争が終わった後の自分の未来を見出していく物語。お風呂を沸かすシーンやベットシーン、検死のシーン、とにかく長回しが多い。さして効果もなく、冗漫なだけ。登場人物にもいまひとつ魅力が無い。冒頭とラストに対比するようにサーモグラフィーの映像があったが、陳腐に思えてしまった。どういった意図の演出なのだろう。気になったのでQ＆A聞きたかったけど、次があって時間なし。
03Sep
- Guest Of Honour (Biennale 15)
  『Guest Of Honour』1.5★（コンペ作品）監督:アトム・エゴヤン製作国: カナダ『クロエ(2009)』監督最新作。
- OM DET OÄNDLIGA (Biennale 14)
  『ABOUT ENDLESSNESS』3★（コンペ作品）監督:ロイ・アンダーソン製作国: スウェーデン、ドイツ、ノルウェー人間の美しさと残酷さ、さらに素晴らしさや陳腐さを、淡々とかつ暖かい映像で表現した作品。スウェーデンの巨匠『さよなら、人類 (2014)』監督最新作。同作は第71回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞している。落ち着いて柔らかい雰囲気と押し付けがましくない、一歩引いた遠慮がちな映像美、少しだけ出しゃばらずにユーモラスを覗かせる。
- THE PAINTED BIRD (Biennale 13)
  『ペインテッド・バード』4★（コンペ作品）監督:バーツラフ・マルホウル製作国: チェコ、ウクライナ、ロシア、ドイツ第二次世界大戦の終わり、迫害を受けた両親と生き別れた少年が、一人で街を転々とし逞しく命を繋ぐ物語。原作は同名小説。35ｍｍのモノクロ映像、ほぼ台詞なしの約3時間、音楽はエンドロールのみ。痛烈な映像と、少年の目と、その他の人間と動物。全てのカット、シーンに圧倒された。残忍なシーンや性的な描写が続く。さらに主人公が少年とだけあって、目を覆いたくなるようなシーンが多い。でもしっかり観ようと思った。というのも私の後ろの席ではこの少年を演じた俳優も一緒に観ている。大人の私が目を背けるなんて情けないことはできなかった。しかし残念なことに、その悲惨なシーンの度に複数人が席を立つ。決まって年配の女性か夫婦。つまらないという理由ならまだしも、観てられないという風に劇場を後にする。子供が命繋ぐために必死に生きる姿から目をそらすとは。作り物の世界だけ観たいならシネコンでハリウッドのサクセスストーリーだけ観とけと心の中で毒づいた。少年は最後まで一言（叫び以外）も発さなかった。彼が感情を表現するのは目。怒り、嘆き、媚び、敬い。とにかく目で全てを表現する。すごい監督と俳優。馬の瞳でさえも印象的だった。正当な成長とは言えないかもしれない。生きるために「目には目を、歯には歯を」を覚えた少年は、生気の増長ととともに怒りがみなぎっていく。怒りこそが彼の生命の原動力、生きる術となった。報復は何も生まれない、けれど誰もこの少年にそんな綺麗ごとは言えない。そして最後に「愛情」を取り戻す。彼が一番必要としていたもの。最新の星取表ではロマンだのホアキンだのメリルだのもううんざりしてたけど、上演終了後、劇場は感動で溢れた。エンドロール終わっても、客電ついても、スタンディングオベーションは止まない。しかし残念なことに翌日の、星取表は散々なスコア。これまでも納得してなかったから、これが順当かな。日本では東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映予定。
- Blanco en Blanco (Biennale 12)
  『Blanco en Blanco』2.5★（オリゾンティ部門）監督:Théo Court製作国: スペイン、チリ、フランス、ドイツ20世紀の終わり、アルゼンチンとの領土争いによってティエラ・デル・フエゴの先住民が虐殺に遭うなか、権力者である地主の結婚式に写真屋として雇われたペドロを中心に物語は進む。一つ取り上げるとすれば、最後のロングカットがシュールすぎ。こういう題材でシュールに撮られると、不謹慎さからか違和感を覚える。でも「シュールレアリスム」とは本来「超現実主義」という意味。これが現実を超越した現実なのか。
02Sep
- THE NEW POPE ep.2,7 (Biennale 11)
  『ニュー・ポープ 2、7話』1★（コンペ外）監督:パオロ・ソレンティーノ製作国: イタリア、フランス、スペイン2016年に制作されたテレビドラマのエピソード2、7。アメリカ人として初めてローマ教皇の物語。監督は『きっとここが帰る場所 (2011)』『グランドフィナーレ (2015)』。初日は8分のスタンディングオベーションだったとのこと。単にジュードロウ人気と舞台がベニスという理由かな。この映画祭は比較的に大衆向けの作品が多い印象。これまで、日本で「金獅子賞受賞」と評された作品を観てきた中では気にならなかった。欧州の映画祭でもそれぞれの特色がある。
- RIALTO (Biennale 10)
  『RIALTO』3.5★（オリゾンティ部門）監督:Peter Mackie Burns製作国: アイルランド、イギリス父親の死からなかなか立ち直れないでいる、2人の子を持つ40代半ばのコルム。妻や息子との関係に悩み、偶然出会った青年ジェイに心を寄せる。初めから最後まで情けない親父。未熟な人間像だけれども見ていてストレスを感じない。気になったのは、コルムの気持ちが不安定になると、おどろおどろしい音楽が流れること。後半立て続けに流れたのはとてもくどい。とはいえ本監督にとっては初長編作品。コルムやジェイのキャラクターは綺麗にまとまりすぎず人間味があって、終わり方の後味の微妙さも、これはこれで悪くない。ラストカットも良い。しかしあまり観客の反応はあまり良いとは言えなかった。若い青年を買春するのが引っかかるのかな。時間帯や場所によっては、こういう作品を敬遠する気高いご婦人が目立つ。
01Sep
- Waps Network (Biennale 9)
  『WASP ネットワーク』2★（コンペ作品）監督: オリヴィエ・アサイヤス製作国: ブラジル、フランス、スペイン、ベルギー1990年代のハバナで起こった実話。キューバ航空のパイロットが妻と子供を残してマイアミに亡命し、カストロ政権の反体制派として運動を起こす社会派ドラマ。
- The Laundromat (Biennale 8)
  『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』1.5★（コンペ出品）監督:スティーヴン・ソダーバーグ製作国: アメリカいわゆるパナマ文書が題材の米国人ジャーナリストによる著書を基に映画化した作品。Netflix制作。
- Adult In The Room (Biennale 7)
  ★2（コンペ外）監督:コスタ＝ガヴラス製作国: フランス、ギリシャ2009年の政権交代を皮切りに、ギリシャの国債が暴落。その後EUに救済を求め交渉する様を描いた同名小説の映画化。
31Aug
- VIVERE (Biennale 6)
  英題『TO LIVE』3★（コンペ外）監督:フランチェスカ・アルキブージ製作国: イタリアローマ郊外に住むのある家庭の物語。ダンサーのスシとフリージャーナリストの夫、喘息持ちの6才の娘、そしてオーペア（子守り）としてアイルランドからやってきた女学生。さらに隣家から一家を見守る単身男性。前半は、音楽、セリフ、演出、カメラワーク、全てが忙しなくて騒がしい。しかし終盤に突如に流れが緩やかになる。わざとテンポを変えたんだろう。ぐっと締まる。常時落ち着きなくマイペースなスシが、終盤は愛おしくさえ見えてくる。意外にも気味の悪い隣人がキーマン。伊映画ということで、満場の拍手。
- MES JOURS DE GLOIRE (Biennale 5)
  英題『My Days of Glory』3★（オリゾンティ部門）監督:アントワン・デ・バリー製作国: フランス30才にもなっても成長しきれない現在のピーターパンエイドリアン。仕事・恋愛において少しづつ成長していく様を描く。想像通りの、安心の展開。こんな役以外の彼は想像ができない。と思ってたら、彼が監督だとわかり驚き。
- BIK ENEICH - UN FILS (Biennale 4)
  英題『The Sun』4.5★（オリゾンティ部門）監督:Mehdi M. Barsaoui製作国:チュニジア、フランス、レバノン、カタール舞台はチュニジア。幸せな一家が休暇中に訪れた地の帰り道で待ち伏せされたテロリストに銃撃され10歳の息子アジズが重症を負う。そこから1時間30分、ラストまで一時も目が離せない怒涛の展開。冒頭5分で完全に惹きつけられた。休暇を終えた3人家族が車で帰路に着くシーン。息子がお気に入りの曲を何度もかけるようせがみ、これで最後だそと言いながら親子3人でノリノリで歌う。これが本意気で3回繰り返される。この長いけれどもあまりに楽しそうで、反対に異様ささえも感じ始めたその瞬間にテロリストの襲撃。完全に油断していた。あえて冗漫にさせるための繰り返しだったよう。そこから最後まで勢いは失速することなく、伏線もあったり、“異様”というのは初めての感覚。国の情勢、法律、宗教。正直今となっては食傷気味の題材かもしれない。シーンはほとんどが病院で、主な登場人物も夫婦と医者のみ。なのに、展開は目まぐるしく衝撃は大きい。単に事象だけではなく、それに沿って描かれる2人の心の動きにも引き込まれる。印象的だったシーンは、母親メリアンがここは泣き崩れるだろうと思われたタイミングで闘志に溢れた表情に変わる瞬間。ラストも秀逸。拍手喝采。これはもう上映後のQ＆Aセッションは必見と居残るも、英語通訳なし。ベネチアよ。。
30Aug
- IL SINDACO DEL RIONE SANITÀ (Biennale 3)
  英題『THE MAYOR OF RIONE SANITA』（コンペ出品）監督:マリオ・マルトーネ製作国: イタリア
- J’ACCUSE (Biennale 2)
  英題『AN OFFICER AND A SPY』2.5★（コンペ出品：銀獅子賞、審査員大賞）監督:ロマン・ポランスキー製作国: フランス、イタリア1894年フランス第三共和政下で大尉だったユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された、反ユダヤ主義による陰謀事件の映画化。原題の「J’ACCUSE（余は弾劾す）」は、1898年に作家エミール＝ゾラがドレフュスを弁護するため新聞に掲載した言葉。性的暴行で有罪になったロマン・ポランスキーの作品とあり非難する声が多い中、プレミア上映後は満場の喝采を浴びた。
- The Perfect Candidate (Biennale 1)
  2.5★（コンペ出品）監督:ハイファ・アル＝マンスール製作国: サウジアラビア、ドイツサウジの女性医師が地元で初の女性候補として選挙に立候補し奮闘する物語。『少女は自転車にのって (2012)』の監督最新作ということで期待していたが、前作に比べるとセリフも演技も陳腐で見応えなかった。映像はゆるく、人物描写も展開も有象無象。期待してただけに残念。観客が笑うタイミングがとっても不思議。「今は（イスラム教の）お祈りの時間だから少し待って」で笑いが起きた。製作者が意図するところなのか。改めて『少女は自転車にのって』を見直して見よ。