『Le sel des larmes』3.5★

英題:『The Salt of Tears』

部門:コンペティション(@Friedrichstadt-Palast)

監督:フィリップ・ガレル

製作国:フランス、スイス

https://www.berlinale.de/en/programme/programme/detail.html?film_id=202004479

 

父親と同じ家具職人を目指す未熟な青年ルークと3人の女性との恋愛物語。監督は『灼熱の肌(2011)』のフィリップ・ガレル。

 

単調なピアノ曲をバックに、バス停で待つ1人目の女性との出会いのシーンから始まる。音楽もシチュエーションも陳腐だなと皮肉に思っていたら、ここからまさに俗っぽい恋愛物語が始まった。女性にとっては運命的に思えた出会いでも、本能のまま恋愛するルークにとってはそう特別なものではない。そう考えると単調で陳腐なピアノ曲が妙にしっくりきた。

 

自分本意な恋愛を繰り返し、他人の愛し方を知らないことすら無自覚のルークは、思い通りにいかない恋人との関係に悩み苦しむ。彼が最後にようやく気づいたのは、父親から受けていた無償の愛。父親を失った時、ようやく愛とは何なのかを知る。

 

独映画『コーヒーをめぐる冒険(2012)』を彷彿とさせる全編モノクロ作品。ただ未熟な青年の恋愛遍歴と父親の普遍的な愛を描いた作品。ただそれだけ。それなのにコンペ作品。ベルリン映画祭って面白い。