『Volevo nascondermi』4★

英題:『Hidden Away』

部門:コンペティション(@Friedrichstadt-Palast)★銀熊賞(男優賞)

監督:ジョルジョ・ディリッティ

製作国:イタリア

https://www.berlinale.de/en/programme/programme/detail.html?film_id=202007198

 

現代美術の革命的な画家アントニオ・リガブーエの物語。スイス生まれのイタリア人移民であるトニは幼少の頃から精神の病を患い、怒りのコントロールができない。母親の死後に養子にだされるも、なかなか人々から受け入れられない孤独なトニは、制御できない感情を創作で表現する術を覚える。

 

前作は『やがて来たる者へ(2009)』の監督ともあり、正直なところあまり期待をしていなかった。画家の生涯を描いた有働無象の伝記映画かと思っていたが、そう単純ではなかった。

 

内面には溢れんばかりの、怒りや慢心、愛情をかかえ、それらが表に噴出した時の凶暴さは時に滑稽で愛くるしい。人に怯え、人を憎み、人愛した不思議な芸術家。

 

ファーストカットで真っ黒な布の中で縮こまり怯えていたトニが、ラストでは純白の装いで終焉を迎える。主演のエリオ・ジェルマーノが納得の銀熊賞(男優賞)を受賞。