第44回 「出島」
過去一年間に活躍した、ベンチャー企業経営者を対象にした「2001年・年間優秀企業経営者賞大賞」に、プラスの今泉社長が選ばれた。
オフィスに文具を届ける「アスクル」を独立する育て方の起業手段が、選ばれた要因とのこと。
今泉さんが主催している会で、社内インキュベーションについて、お話をさせていただいたことがある。
今年3月、当社の出島で銀座で「おむすびの十石」の社長としてスタートした葉葺君の紹介をすると、「あなたのインキュベーションの実践は、アスクルに通じる」という言葉を頂いた。
「アスクル」の立ち上げは、当社の推奨し実践している「出島」によるインキュベーションがモデルとなったケースだった
葉葺君とは、昨年からの付き合だ。
何故か、運のいい男なのである。
通常では考えられないような幸運に、恵まれる。
当社の出島にいた期間は、半年。
この間出会った多くの人は、彼のファンとなり、「いい情報や案件を伝えて上げたくなってしまう」という声が多い。
強烈なカリスマタイプでなく、一人ひとりの中に内在している資源や情報を、さわやかに引き出す起業家だ。
経営者には、「生みの親と育ての親」がいる。
バランスのいい企業内アントレプレナーである。
7月26日、日本マクドナルドが上場し、成長スピードに拍車がかかる勢いだ。
日本人は、米の食生活で育ってきた人種である。
65円ハンバーガーの1人勝ちに、「お結びの銀座十石」が一石を投じるファーストフードとして、新たな市場を創生して欲しい。
創業時、葉葺君は社名を決める際、インターナショナルな名前にこだわった。
その理由は、将来海外に進出したいということだった。
「たかがおにぎり、されどおにぎり」で夢は大きくシンプルに勝負してゆきたいと。
元気のない日本の企業に今、一番必要なことは、社内からチャレンジする葉葺君のような起業人を一人でも多く創生することにあると思う。
外から、本体にインパクトを与えるエネルギーは、自己変革をできない多くの企業に新たな活力を与える。
大手企業の社内ベンチャーの仕組みに、変化が起こりつつあるが、社内育成方式がほとんどで、実態はなかなかうまくいっていない。
大企業から本物のベンチャーが生まれてこない要因は、一言で言えばチャレンジしない風土、仕組みだからである。
そういった起業人が出てこない。
本来、企業の持っているダイナミックな活力と成長力を取り戻すには、「アタッカー育成」にあり、その仕組みと風土をどう創るかにある。
手段は、創発となる「出島」を、創ることから、一歩が始まる。