第59回 「桧原村」 | インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ

第59回 「桧原村」

過日、東京の秘境といわれている桧原村にいった。


運良く年に一回の柏野木神社祭礼の日に出会い、村の皆さんと共に、伝統的な舞いを観た。


隣に居合わせた女性が、「あの壇上で舞っている男の子は、家の子で今年の代表で選ばれたんです!」と誇らしげに説明してくれた。


村では永年、年一回の祭礼に向け、子供も大人も伝統ある舞いの練習をし、特定の人の評価でなく参加者全員による互選によって、晴れの舞台の参加を得る慣習がある。


日頃見ることのない、神楽での優雅な演舞に、忘れかけていた子供の頃の思い出がよみがえり、その頃にタイムスリップしたような時間だった。


地方に育ったせいか、時々田舎恋しくなる。


幼い頃、近所の皆さんがよく家に集い、楽しく世間話をしている風土の中に育ったからかも知れない。


以前、ディズニーランドの仕事に携わっていた際、毎年“The Spirit of Tokyo Disneyland“という称号を与える制度を知る機会があった。


この賞は、年間パークに訪れるお客様(ゲスト)に対し、ディズニーランドスピリッツである「ハピネスを提供する」ことを一生懸命実践したキャスト(従業員)を称える賞だ。


その人選は、従業員達による互選に委ね、キャスト同士が、共に働く仲間で頑張っている人を称える「recognition 」評価・認定の実践をしている。


選ばれたキァストの胸には、シルバーピンの上にミッキーのロゴがつけられ、最高の名誉だ。


仲間たちから、称されて与えられる勲章の習慣は一つの文化となった。檜原村で見た舞に、時空を超えた偶然とは思えない共通のモチベーションスピリッツを感じた。


混沌の時代の今、人と組織の生かし合えるあり方に対して、あふれんばかりの情報や、さまざまな価値観が交錯し、憶測や悲観的観測が飛び交っている。


人々はいったい何を信じ、来るべき時代をどう読めばいいのか・・見定め、決断してゆくことが難しく、個人も企業も変革のスピードが速まってきた。


村で見た夜空は身近で、人間と宇宙がこれ以上近づいてはならない限界のようにさえ思えた。


先人達が大切にしてきた村の畑や神社を守る文化を継承している村人達の姿に、惑わされることなく生き抜いてきた「心の尊さ」があった。


そして、カオスの社会で生き抜くために忘れてはいけない「何か」を投げかけられた。





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