第97回 「新年初心」
「初心」・・とは、何かを起こすときの決意と言われている。
私は、とても美しく新鮮な心のあり方でもあると思っている。
2006年にあたり、創業期、人と企業のインキュベーターを志した、「初心」を思い起してみた。
昨年は、株価15,000台となり、日本を代表する企業の三菱商事、キャノン、トヨタ自動社にいたっては、上場以来の最高値を更新している。
個人消費も良くなり、日本経済は現時点においては、好環境に位置している。株式公開企業も一昨年から170社を超え、2005年の12月は20社台となった。
一方、米国のグーグルの時価総額は、なんと現時点で15兆となっている。
世界的な規模で経済は、サイバー社会を背景に、これまでないハイスピードで激変している。かつて、経済学者のアルビンとフラー氏が、第三の波と表現した時代の渦中に、今、私達はいる。
こういった渦中で、昨年、公開し注目されているクリエイトレストランツ、ユージン、オールアバウトをはじめ、話題となっている企業群の顔ぶれを見ていると共通の傾向がある。
企業内起業によって、創生され成長してきたベンチャー企業が増大していることだ。
過去、ヤフーがソフトバンクから、アスクルはプラスから、フャナックは富士通から生まれた。
今日の日本を代表する企業の多くが、現存の企業の経営資源を活かし、創生され大きく成長し今日に至っている。
カーブアウトというインキュベーションの手法が、注目されている。
企業の中に眠っている人材やアイディア、技術、ビジネス構想を一旦外に出し、エグゼクティブサーチなどをはじめ、外部の様々な協力を得て、育成していく方法論だ。
企業の中では、可能性ある人材やアイディアが塩漬けになってしまうことを避け、外に出して、100%の子会社でなく提携先会社やアントレプレナーの資本も入れ、本社の意向に、時には「NO」といえる体制を創ることが起業の成功の第一歩となるからだ。
経済は、「気」で成り立っている。
セブンイレブンが親会社のヨーカ堂の売上や利益を超え、グループ変革を展開している原動力になっている。
本気の企業グループ内起業家が、公開市場の新たな「主役」となり、2006年を、照らす予兆を感じる。