第112回 「語り継がれる言葉と経営」 | インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ

第112回 「語り継がれる言葉と経営」

かつて、「企業の寿命は30年説」といわれていた。


最近では、激変する環境変化により、企業事業生命は10年を切ったといわれている。


脚光を浴びた企業や社長が、急に姿を見せなくなっている。

一方、100余年にわたり脈々と発展している企業が存在している。


こうした企業には、「先人から引き継がれる経営哲学・精神・DNAを表す共通言語」を持って、これを継承している。


「伊右衛門」や「プレミアム・モルツ」をはじめ、常に新たな商品をヒットさせ続けているサントリー社では、いつの時代にも通用するチャレンジスピリッツ(DNA)が、「やってみなはれ」という言葉が語り継がれている。


我家の冷蔵庫の中は、サントリーダイエットビール、黒ウーロン茶、ハーゲンダッツのアイスクリーム、サプリメント、ミネラルウォーターといった商品群が陣取っている。


過日、親しくお付き合いしている方から、「伊右衛門」を開発したマネージャーの話を伺った。


「伊右衛門」の商品開発には、5年に渡り様々な失敗があって、この商品が生まれたとのこと。


「これだけ永い年月、時間を費やし、しかも、多くの失敗と損失を繰り返した人に、よくチャレンジする機会を与え続けましたね?」と尋ねると、


サントリーには「やらぬ罪」という考え方があって、何もやらないよりやって失敗する人を評価するカルチャーが創業期からあるのだと聞いた。


サントリーは、1899年(明治32年)鳥井信治郎氏によって創業され、彼は「やってみなはれ、やってみなわかりまへんで」と、理屈を言う前に体を動かせと、社員一人ひとりに口癖のように、語っていたという。

単品で一千億の売上を超えるスーパー商品「伊右衛門」は、京都の老舗の福寿園とのコラボレーションと、斬新な竹筒デザインがなかったら、これだけ大ヒットしなかったのかも知れない。


こういった柔軟な発想にチャレンジする「やってみなはれ」スピリッツと、それを受け入れる土壌があったから、「伊右衛門」が生まれたのだろう。


「減点主義」のはびこる大企業が多い中、歴史観を持って開放的スタンスで、チャレンジスピリッツを持つサントリーの皆さん会うと、様々なイマジネーションが沸き、楽しい語らいとなって酒が進む。


いつの時代にも通じる経営哲学やスピリッツが「言語」となり、家訓のように語り継がれる企業は、強い。





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