第122回 「ロンドンで」 | インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ

第122回 「ロンドンで」

 2008年の年明けを、世界の四大都市ロンドンで迎えた。


冬のロンドンは、曇天で夕方4時頃にはすでに暗く、街行く人々の吐息は白く寒かった。


 ロンドンの街並みは、テムズ川沿いに広がる石畳の道路や、石外壁で造られた中世の建物が、今でも数多く残っている。


トラファルガー広場にあるナショナル・ギャラリーに、黒いロンドンタクシーで出かけた。


中世の宮殿のような美術館に、ゴッホ、モネ、レオナルド・ダ・ヴィンチを始め、イタリア・ルネサンス、オランダ絵画などを中心とした質の高い作品がコレクションされ素晴らしいミュージアムであった。

(ちなみに、ロンドンの美術館は、無料で開放されている。)


2001年に初の海外進出をしたユニクロに行ってみた。

ロンドンの繁華街のピカデリーサーカスの店は、プライスは、日本ほど安くはないが、競合店GAPの半値位で、多くの商品が整然と並んでいた。


立派な店造りだったが、客の入りはまばらで、ユニクロの評価を尋ねると、「ユニクロの商品は、品質も縫製も良いし、プライスも値ごろだけど、イギリス人の多くは、服は着られればいいと思ってる。

車は動けばいいし、日本人のようにショッピングがエンターテイメントだとは誰も思ってない。

家も中古を大切に使い回し、若い人達は5~6人でシェアハウスして、引越しする際、ベッドやデスク、食器棚などは置いてくるか、リサイクル品としてバザーで売って、お金をかけない生活を心がけている。」と、教えてくれた。


先人達の造った市場は、今でも古着や家具を始め生活用品のバザーの会場として利用され、賑わっていた。


 使える物は大切に永く使い、余計なものを削ぎ落とし、無駄なお金を使わない合理的な生活スタイルによって、人生を豊かに生きるイギリスの人々の哲学が、重厚な歴史を感じる街並みを残した。


市内を移動する際、ハリーポッターのロケ現場に使われたKing's Cross駅から、「チューブ」と云われる地下鉄の初乗り4ポンド(今年の一月、一ポンド約243円)で、なんと972円もした。


シンプルなランチをカフェで食べたら、37ポンド、一人8千991円、4人で3万5,900円の支払いだった。


通常のスタンダードなホテルで200ポンド、5万円近い金額になる。


そして、インターネット接続代1日あたり15ポンド(3,645円)。


 最近、日本のGDPが下がり、多くの国際指標ランキングが下がり、国際競争力が弱まり、円の通貨価値が下がっているとは思ってたが、驚いた。


 通貨は、国の経済、政治、文化の力の尺度といわれている。


海外から見た今の日本の国力に、未来への危機感とこれからの日本のグランドデザインを考えさせられた。


 今の日本の状態は、貿易や投資などを始めグローバル化の恩恵を受けている。


 これからは、国と企業が一体となり、トヨタやキャノンといった一部の大手企業だけでなく、国際競争力を持つ企業を一社でも多くインキュベートし、87年にNo.1と云われたGDPの復活だけでなく、精神を高め心豊かに生活していけるMADE・IN・JAPANが求められてと思った。





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