第43回 歌舞伎 | インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ

第43回 歌舞伎

先日、東銀座で歌舞伎座の観劇を見た。


常日頃感じることのない異質な時間と空間、着物姿のおしゃれな装いの彼女達、楽しそうな談話姿、若い世代の女性、立ち見の人達までいることに驚いた。


 日頃、訪れることのない歌舞伎世界に対して、自分の持っていた概念とイメージが崩れた。


現在、これだけ様々な娯楽があるにも関わらず、歌舞伎が四百年以上も、人の心を魅了してきた「コア」は一体何なのだろうか?


今のように情報メディアがない時代、世相を映す事件を基にしたコンテンツを、「歌舞伎にして、全国行脚するワイドショー」は、人々の暮らしの楽しみだったのかもしれない。


役者の名前が、「何代目の團十郎」と語り告がれるヒーローは、どの時代にも存在している永遠の存在である。


自分の親や祖父、祖母とも、共通の話が弾む話題となる。


日本を代表する文化にまで育った歌舞伎は、先人の人々が時代の空気を感じ取り、それを表現する為に考え抜いた、知恵と努力の結晶とも思える。 


歌舞伎の歴史に比べ、最近の打ち上げ花火のような、IT系の華々しいデビューを飾った多くのベンチャー企業は、何故こんなにも継続する力が弱いのだろうか?と思った。

四百年とまでいわないにしても、企業が継続発展してゆく条件は、何なのだろうか?


人にも企業にも生まれた時から、年齢がある。


企業年齢は、その「絶対年齢ではない」ということを、意外と気がついている経営者が少ない。


事業には、生命サイクルがある。


ホンダやソニーそして京セラの創業期、トップ達は、「永い年数をかけてでも、絶対にこれを創り確立する」と自分一代ではできないような百年の計を、自分の言葉で語っている。


社会の中に永く受け入れられるには、当然、価値、レゾンデートルが求められる。


確立するには、会社への絶対年齢でなく、2010年、2020年から今を見つめる目線で、「これだけは何が何でも創る」こだわりのコアが必要だ。


歌舞伎に、是非。


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