第17回 「社外取締役・アウトサイド・ボード・メンバー」 | インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ

第17回 「社外取締役・アウトサイド・ボード・メンバー」

取締役とは、株主の任を受け、経営を監視するという機能を担うことが、役回りだ。


日本の取締役会は、現場の利益代表者で構成されている現状にある。


外取締役に就任しているが、取締役会は年に15回位開催される。


外資の企業では、ボード・メンバー(取締役)が社外の人間なのか社内の人間なのかという意識はなく、同じ経営の一員としてゴールを目指すのに内も外もない感覚だで運営されている。


商法上は社外取締役などという定義はなく、ボードは株主利益の代表として責任を果たす役割があり、時には、株主代表訴訟によって訴訟を受ける対象になる。

アメリカでは取締役会が株主の意向を受け、CEO以下経営陣(オフィサー=執行役員)を監督する立場に徹している。


ボードは株主の利害代表者であり、オフィサーは経営の実行部隊である。一方、日本では、多くの企業の取締役会において、ボードとオフィサー、 監督者と実行者が同一人物のことが多い。


取締役と執行役員では、本来役割が違うにもかかわらず、日本では執行の現場長職を手放さずに役員になるという人が多い。


意識の転換、各位のコンセンサスなしに取締役になってしまうからか、様々な矛盾が生じ、部下や自身の不祥事を、株主や社会に対して隠してしまい、しいては、大きなミスをおかしてしまう、最近の雪印乳業などの事件背景などには、こういったことがいえるように思う。


社外取締役、7つの仕事


 アメリカにおける社外取締役の主な役割は ①CEOに対する相談役 ②世間の常識の伝授(Y2K、ERP、環境問題など)、③危機管理、④人事評価、⑤給与レベル/役員賞与、⑥企業の社会的責任、⑦戦略方向の確認、承認 などがある。


CEOという役割の人は、社内に相談役がいない。

入ってくる情報は圧倒的に社内や業界であり、しかもフィルターのかかった情報が入ってくる。

CEOは会社の中に世界があるため、外の社会の常識を知らない。

成功した創業経営者ほどその傾向が強い。自分で世界をつくって成功した分、自分の判断が常識ですべて正しいと思ってしまう。

社内にはその世界を信じているイエスマンしかいなく、そういった人しか残らないことが多い。


ボードはトップに対して、積極的にアドバイスしなければならなく、取締役会がフルに機能する瞬間とは、トップを含めた執行役員側が正常に機能してないとき、「いざというとき」の役割がある。


 最近、米国では、多様化する経営問題に対応すべく、取締役会はいくつかの分科会に分かれ、財務委員会、人事委員会、監査委員会……といったテーマによって別途設けられ運営されている。


取締役は、ルーチンワークに時間を取られてしまうが、ルーチンワークをなおざりにすると「役員は何をやっていた」と株主代表訴訟で攻撃される。本当に戦略的なことを自由闊達に議論しようとすると、従来のボードでは不可能になってきている。


時間面ではルーチンワークによって制約を受け、メンバー構成ではバランスという制約を受ける。その中で自由闊達な戦略を存分に語り合うことは非常に難しい。


そこで出てきた考え方が「アドバイザリー・ボード」である。


商法上のボードとは別に、CEOの相談役としての機能、戦略専門のボードをつくるという考え方だ。


形だけの、社外役員でなく、流行でない本質の役割を明確にした社会と対応したボードが、経営を強く、継続発展事業を創るのだと思う。





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