あれは、3年ほど前。
ある日のNPO法人日本インタビュアー協会のインタビュアー養成セミナー 。
私とインタビューのワークをやっていた生徒さんが、こんなことを言いました。
「なんか、悪くって聞けないんですよね」
なるほど。
インタビューは時として、相手の本音へきりこんでいくことがあります。
そのとき、話し手へあたえる印象が、本音をひきだすのか、それとも、心を固くガードさせてしまうのかが、決まってしまいます。
言葉、イントネーション、リズム、態度。
一度、ガードされた話し手の心をときほぐすのは、かなりむずしかい。うちの会長でも難しいかも知れません。
でも、会長 だったら大丈夫かな?
おばあちゃん(失礼!)の癒しパワーは、奇跡的な力さえ感じるときがあります。
さて、本音へときりこんででいくためには、どうしても質問をしなければなりません。
でも、なんか、悪くって聞けない。
心のやさしい人は、なおさら聞けません。
「あなたのその気持ちわかります。本音に切り込んでいくって、勇気がいります。
僕は今でも、『こんなことを聞いても大丈夫かな?』と思うときがあります」
「先生でも、そうなんですか?」
「ええ。でも、話し手を大切だとおもうと、聞けるようになるんです」
「それはそうでしょうね」
「“大切”という字は、大きく切ると、書きます。
だから、『聞いたら悪いな』と思うよりも、この人が大切だから、大きく切って上げようと考るようにしています。
この人が大切だなって気持ちを持ちながら、質問で、ズバッと切っちゃう。
すると、話し手が本音をかたりはじめてくれるんです。
ようは、インタビュアーの勝手な心の持ち方なんですけど。(笑)」
「そうか。そう思うと、気分が楽ですね」
そうなんです。
話し手を大切と思うのなら、本音をひきだす、大きく切ってあげるような質問をしてしまう。
すると、話し手は、本音をかたりだす。
それは、話し手が自分自身の中のいらない部分を大きく切って行く、行為でもあるんです。
なぜなら・・・