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『CROMWELL』
第一章 空に咲く花④
そこは木々も生えていない見晴らしのいい展望台のように開放的な場所だった。
空も完全に何からも邪魔をされずに僕の頭上に現れた。
空に懐かしさとある種の優しさのようなものを感じた。
先は崖のようになっていて、僕たちがそこに立つと、そこからは麓に広がる僕たちが見た湖、黒森が見えた。
僕たちが歩いてきた道が淡く白く光り、それは銀河を流れる川のようだ。
その川の流れが僕たちをここへ運んだ。
水が上流から下流へ流れていくように、自然の法則のように僕たちはここに運ばれた。
ここは海なのかもしれない。
僕たちは海にたどり着いた。
この場所が僕に安心を感じさせた。
それはこの場所が、もしくは僕たちだけかもしれないけれど、星がスポットライトをあてるように僕たちを見守りながら照らしてくれているように見えたからだった。
僕はその空間の中で自由を感じる。
何ものからも解放され、僕は自由を手に入れる。
「見て、町があんなに小さく見えるよ」
君は僕の手を引っ張って、もう片方の手で小さく光る町を指差した。
「ほんとだ。結構登ってきたみたいだね。ロンバルナード城ですら、小鳥の巣みたいに見えるよ」
「私たちには見えてるけど、彼らには私たちは見えていないのね」
「そうだろうね。でも、僕たちはここにいる。僕たちの存在を誰も知らなかったとしても、僕たちはこの空の下にいるし、あの町や城、湖や森、そしてもっともっと先に広がる世界を見ることができる」
東の方向には山が連なっている。
でも、夜の闇のためはっきりとその姿を捉えることはできない。
「高いとこから見ることっていいことだと思う?」
君は静かに言った。
「どうかな。でも僕は好きだよ。個人的な意見だけどね。人より多くを知ることができるし、未知の世界を垣間見ることができる。でも僕は高いところに上って、遠くを見るたびにいつも寂しい思いに包まれるんだ」
「どうして?」
「わからない。でも僕はそれが全く苦じゃないんだよ。むしろ、その寂しさが好きなんだ。それに浸っているとき、なぜかとても不思議な気分になる」
君はそれに対して返事をしなかった。
その代わりに僕に向かって微笑んで、頭をそっと僕の肩にのせた。
誰もいない二人だけの絶頂の孤島の中で、僕は安心に包まれる。
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