はじめてこっちで雪が降ったから、一緒に帰ろうと思ってと。
私とあなたは不倫だから、外を2人で歩くことなんてなく現地集合、現地解散。
今日は不倫が始まってはじめて一緒にそとをあるいたかな。
大粒の雪が街灯に照らされてそれはきれいでした。
吐く息も真っ白で、道にも真っ白な雪が積もって、さくさくと足跡がついて。
車道側は危ないからって変わってくれた。
ねえ、覚えてる?
思わず私は言った。
覚えてるよ、はじめて一緒に飲んだ日でしょう。
覚えてることがおどろいた、その日は3年くらい前、初めて2人きりで飲んだ日で、
出会ってから半年くらいで、
はじめての私の大事な仕事の発表があった日で、
まぁまぁうまくできて、1人で余韻にひたっていたら、
あなたが1人で飲んでるってラインがきたからじゃあ行きますって自分から出向いて、
やましい期待をして行ったけど、たった30分くらい、
ひたすら仕事の話して、すぐお開きになって、
残念って思いながらもほっとしながら
職場までいっしょに歩いて帰った時、
車道側は危ないからって、肩をひきよせられて、位置を変えてくれた。
ねえあの時、私はあなたに恋したんだよ。
その日の日付がかわるとき、偶然わたしの誕生日でもあった。
あなたも覚えていてくれたのかなぁ。
それ以上深くは聞かなかったけど。
あの時から3年、いまこうして、隣にいるのが不思議で
夢みたい。
次一緒に歩く日はくるのかな。
私たちは未来のない関係だから、だからこそ一瞬のことをずっと記憶している。
形なんてなくて、思い出だけ。
それが不倫の現実。