大統領のの構成はこうなっています。1つ目はトランプ氏を支持する共和党予備選の有権者。2つ目はトランプ氏を支持しない共和党予備選の有権者。3つ目はそれ以外の全有権者。トランプ氏の支持者は一番小さなグループなのです。しかし、本選の行方を決定する力は残り2つ待ち受けているのです。
そうした舞台でのトランプ氏の弱い立場は、トランプ氏が共和党の指名候補になった場合に、11月の本選へ向けて共和党が険しい道のりに直面することを物語っています。
WSJとNBCニュースの世論調査によると、予備選でトランプ氏に投票した有権者のなかで、90%はトランプ氏に個人的な好感を抱いており、しかも、ほぼ全員といっていい98%がトランプ氏を大統領として支持すると回答した。(否定的に見ているのはわずか4%)
しかし他の共和党予備選の有権者で好意的な感情を持っているのはわずか23%で、59%が否定的な感情を持っているとのことです。さらに、トランプ氏を支持しない予備選有権者のうちの59%が同氏を大統領として支持しないと回答しています。
仮にトランプ氏が共和党の指名候補となった場合、11月の本選で共和党が勝利するためにはすべての有権者がトランプ氏支持でまとまる必要があるでしょう。
では、共和党の予備選有権者以外はどうでしょうか。共和党の予備選に参加していない有権者は全体の3分の2を占め、3つのグループのなかで突出して大きいです。つまり、トランプ氏にとっては最大の挑戦となりますが、この有権者の中ではトランプ氏に好感を持っているとの回答は16%で、好感を持っていないとの回答は75%に上り、79%が大統領としてトランプ氏を支持しないと回答しています。
トランプ氏に対する好感度調査(青:肯定的、赤:否定的)、左:共和党予備選有権者のトランプ氏支持者、中:共和党予備選有権者のトランプ氏の非支持者、右:それ以外の有権者
メキシコ人やイスラム教徒、そして共和党の同胞に対してさえ抑制の効かないレトリックを用い、米大統領選の共和党指名争いで先頭を走る実業家のドナルド・トランプ氏は長らく米国で見かけなかったような分裂を引き起こす政治的人物になってきたと言われています。
暴力的な抗議活動
リベラル系の市民活動団体「ムーブオン・ドット・オーグ」が認めたように、トランプ氏の集会は左派団体からの組織的な攻撃対象となっており、近ごろの左派大学生のように、進歩的な活動家は反対意見を許容しなくなり、保守的な論調を封じ込めたいと考えています。
中には逮捕されてもよいと考える活動家もいます。
またトランプも彼らを敵対者扱いしており、自由な政治言論を弾劾しようとする彼の主張が含まれているようです。今月から、マスコミを脅したり、抗議者を警備員に追い出させたりする場面がみられます。
今週、トランプ氏の支持者の1人が反対者によって集会場から連れ出される際、その支持者は反対者の顔面に不意打ちを食らわせましたが、トランプはそれ以後も支持者に暴力を容認するような言動を繰り返しました。
アメリカの市民社会を不安定にするようなやり方で、大統領を目指す人物にはなってほしくないと思います。