赤ちゃんの権利は?子供と自分の権利関係を再確認! | 国際法と国際政治から読み解く現在

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アメリカ在住。国際法が専門分野。話題の政治ニュースを分かりやすく解説。国際政治、憲法、哲学、地域、国際関係学幅広く対応。

もうすぐ、従兄弟の赤ちゃん生まれるらしく、おめでたいな~と思いながら、
従兄弟がその子の名前を真剣に考えている中、私はその子の法的な権利について考えてみよう

ということで、
民法の規範的な部分でもある、"権利能力", "意思能力", "行為能力"について簡単にお話しをしたいと思います。

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"権利能力"

生まれた赤ちゃんも、いきなり権利能力=権利・義務の主体となります。
民法では社会生活を権利・義務の関係としてとらえるため、
権利の主体となることができなければ取引を主体的に行うことができません。

誰が、権利能力を持っているのでしょうか? "自然人”です。

権利能力は、"自然人"に対して認められるだけでなく、一定の団体に対して与えられることもある。(法人)

3条1項
「私権の享有は、出生に始まる」

自然人の権利能力の始期は出生であります。
すなわち、自然人は、出生と同時に権利能力を取得します。



<全部露出説>
民法上、胎児が母体から全部露出した時をもって出生であると解されています。出生があったときは、その事実を14日以内に市町村長に届け出なければなりませんが(戸籍法49条)。
もっとも、出生の届出がなされなかったとしても、胎児が出生によって権利能力を取得することに変わりはありません。


しかし、人が出生によって権利能力を取得するのであるとすると、胎児の生まれる時期などによって、相続の権利などにおいて不合理なことが起こる。

例えば、父親が交通事故で亡くなったとする、当然、生まれた胎児は、父親の死亡によって相続が開始する(882条)前にすでに権利の主体として存在しているので、父親の財産を相続することができますが(887条1項)、父親の死亡後に生まれた胎児は、相続開始の時点では権利の主体として存在していないため、父親を相続することができません。

そのため、民法は、不法行為による損害賠償請求、相続、遺贈に関して、胎児はすでに生まれたものとみなすという規定を置いています(721条・886条・965条)。これらの規定によって、出生前の胎児であっても、出生後の胎児と同様にその利益が保護されることなる。もっとも、胎児が死産したときには、これらの規定は適用されませんが(886条2項)。


"意思能力"

その赤ちゃんが成長して、
私法上の権利や義務の関係を有効につくるには、その関係を作ろうとする"意思"がなければならなりません。

この"意思"を有効に為せるだけの資格のことを"意思能力"といいます。ある法律行為をした結果がどうなるのかを認識できるだけの能力が必要となります。

条文に規定はないが、一般的には、7-10歳(裁判官の裁量に任せる)の幼児や泥酔者はこの意思能力を欠くので、その意思表示は無効になりうるとされます。各場面の状況に応じて個別に判断されることとなる。

この無効は、意思無能力者を保護するためであり、意思表示をした本人のみが無効を主張できる片面的無効(取消的無効)とされています。

(民法7条などにある"事理を弁識する能力"=意思能力という解釈)

”行為能力”

人が有効な法律行為をなすには、意思能力に加えて行為能力も必要となる。

赤ちゃんが、大人になって、会社を作りいとか、言い出した場合です。

行為能力とは:単独で、有効な法律行為(権利や義務を発生させる行為)をなせる資格であります。
行為能力が未熟な未成年者や、成年者でも不安のある者は"成年被後見人", "被保佐人", "被補助人"と類型化して保護され、単独でした法律行為は取り消される場合もります。

未成年の場合

未成年者が法律行為(取引)を行うには、原則として法定代理人の同意を得なければなりません(5条1項本文)。未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができます(5条2項)。取り消すことができる者(取消権者)は、未成年者本人(とその承継人)およびその代理人です(120条1項)。

なお、未成年者が法定代理人の同意を得て法律行為を行うには、未成年者に意思能力が備わっていることが必要です(幼児は意思能力を欠く)。

未成年者であっても法定代理人の同意を得ずに単独で行うことができる行為3つ

(1) 単に権利を得、または義務を免れる法律行為(5条1項但書)
たとえば、負担のない贈与を受けることや、贈与を撤回する(550条)ことなどがこれにあたります。しかし、債権の弁済を受領すること(未成年者が借金貸した人の債務を消滅する)は、権利を失うことになるから、この場合には該当しない。
(2) 処分を許された財産の処分(5条3項)
親権者などの法定代理人が使用目的を定めて処分を許した財産をその目的の範囲内で処分する場合(たとえば、学資として渡された金銭を授業料として納付すること)と、使用目的を定めないで処分を許した財産を処分する場合(たとえば、小遣いで何かを買うこと)とがある。
(3) 営業を許された未成年者がその営業に関してする法律行為(6条)
本条における「営業」とは、営利を目的とする独立の事業を言い、雇用されて従業員として働くこと(職業)とは異なる。許可された種類の営業に関するかぎり、その営業に直接間接に必要な一切の行為を単独で行うことができる(大判大4.12.24)。
未成年者が営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人はその許可を取り消すことができる(同条2項、823条2項)。許可の取消しは、将来に向かってのみ効力を生じ、許可の取消し前にした行為の効力には影響しない。
未成年者のする営業が商業であるときは、登記しなければならない(商法5条)。
〔参考〕持分会社の無限責任社員となることを許された未成年者は、社員の資格にもとづいてする行為に関しては、行為能力者とみなされる(会社法584条)。


未成年者の保護者は、法定代理人です。
法定代理人となる者は、第一に親権者(父母)であります(818条・824条)。親権者がいないとき、または、親権者が子の財産管理権を有しないときは、法定代理人として未成年後見人が付けられます(838条1号)。

法定代理人は、未成年者の行為能力の制限との関係で、次のような権限を有します。

① 未成年者の行う法律行為に同意を与える権限(同意権)(5条1項)
② 未成年者を代理して財産上の法律行為をする権限(代理権)(824条・859条)
③ 未成年者が同意を得ずにした法律行為を取り消す権限(取消権)および追認する権限(追認権)(5条2項・120条1項・122条)


よって、自分の子供(未成年)が大きくなって、会社を開きたいとか、働きたいとかなった場合に、
保護者の同意が必要となります。
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