偶数と奇数を足すとどうなるでしょうか。。。 | 数学美術館 

偶数と奇数を足すとどうなるでしょうか。。。

2012年に大学生向けに数学の問題が出されました。


日本数学会が行なった「大学生数学基本調査」というものです。


現在の大学生の数学の知識や能力を調査したものです。




一時期、今の大学生は平均の意味が分かっていないとか奇数と偶数の足し算が分かっていないと言われました。


覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。




今日の朝刊にそれに関連する記事が載っていました。


朝、急に母親に


「奇数と偶数を足すと奇数になることを説明して!」


と言われ、びっくりしました。




もちろん私は去年行なわれた大学生数学基本調査のことだな、と思い


「m, nを自然数として、偶数を2m, 奇数を2n+1とし・・・」


と説明をしました。





しかし、母は・・・













「そんな説明分かりにくいっ!!!それじゃあ、教師失格やね!!」





と言い放たれました(ToT)


朝からなんてひどい・・・





ここである気付きありました。


この問題、全文はこうです。




2-1

偶数と奇数をたすと、答えはどうなるでしょうか。次の選択肢のうち正しい物に○を記入し、そうなる理由を下の空欄で説明してください。


(a)いつも必ず偶数になる

(b)いつも必ず奇数になる

(c)奇数になることも偶数になることもある


(理由)





確かにこう書かれると、母が言っていたように「分かりやすく小学生にでもわかるように」説明を書きたくなりませんか???



確かに私もこの問題を初めて見た時、小学生にも分かるように説明するにはどうすればいいんだろう~??と悩んでいたように思います。


そして答えを見た時に、「なんや!そのままの説明でいいんかいっ!」と突っ込んだ覚えがあります。






ちなみに模範解答は



偶数と奇数は整数m, nを用いて2m, 2n+1と表せる。

この2つの整数の和は、


2m+(2n+1)=2(m+n)+1


となり、m+nは整数なので、この和は奇数である。



です。

最後のm+nは整数であることを言わないと×になるので、大学生の中でもm, nを用いて証明しても最後の「m+nは整数」を忘れていて×になっている人も多かったように思います。




この問題の正答率が19%ほどと低かったことがよくメディアに取り上げられています。


しかし、これは問題文がもっと数学っぽい書き方だったら、もっと正答率が上がっていたと思うのです。。。



<問題>

奇数と偶数の和は必ず奇数になることを証明せよ



とか、ね。


この問題の正答率は理工系でも26.1%だったようです。


でもそんなことはあり得ない。数学っぽい問題だったら答えられていたはずです。



なんで数学っぽく書くと、正答率が上がると思うかというと、


次の問題はこんな問題なんです。



2-2

2次関数y=-x^2+6x-8のグラフはどのような放物線でしょうか。重要な特徴を文章で3つ答えなさい。



です。


この問題、さっきの偶数と奇数の問題よりも難しそうに思いませんか??



でもこの問題、正答率は39%なんです( ゚∀゚)


理工系の正答率は48.4%です。

(あれ?それでも半分は正解していないの!?((;゚Д゚)ガクガクブルブル)




そう。偶数と奇数の問題よりも20ポイントも高い正答率なんです。


きっとこれは数学の問題として答えないといけないから、とすぐに認識できるからではないかと思います。




説明しなさいって表現、数学の問題では使いませんからね~。

これに惑わされた理工系の人も多かったのではないでしょうか。


だからメディアがいうように、偶数、奇数が分かっていないということではないと思うのです。


ちなみに日本数学会のレポートでは、この問題の正答率が低いことから


基本的論証力を身に着けているかどうかが、選択可能な進路の幅を大きく左右している可能性.


と書いています。うむむ、、、




最後に母から質問が、、、



「整数って何??」




そこで答えた自分の答えは


「1とか0とかー1とかの数字のこと」




ううう、答えながらなんて稚拙な答えだろうと思います。


しか~し!


この偶数奇数の問題のように、整数を説明しなさいって言われたら、きっとほぼすべての人が私と似たような説明をするでしょう!!


でもそれだと日本数学会は○をくれないのでしょうね。


そうなったら正答率1%ないですよ( ゚∀゚)


私も答えられませんから!!!




参考URL)

日本数学会 「大学生数学基本調査」に基づく数学教育への提言

http://mathsoc.jp/comm/kyoiku/chousa2011/