カメは月にいけるのか?<最終回>オイラーの定数 | 数学美術館 

カメは月にいけるのか?<最終回>オイラーの定数

こんにちは。

数学学芸員のようじ こと 八田陽児です。


カメは月にいけるのか?いよいよ最終回です。今回はオイラーの定数もご紹介します!


さて、前回の計算でこんな結果が求められました。



数学美術館 -調和級数の和とlogその2

左辺の調和級数の和とlog(n+1)の大きさですが、実はこの差はとっても小さいものです。両方の式はほぼ同じと考えて差し支えありません。


このことを計算したのはかのオイラー大先生です。


調和級数の和が発散することは14世紀にニコル・オレームによって証明されていました。16世紀、オイラーは更にこの2つの式が極限を取ると、等しいことを証明し、その差がある定数に収束することを示しました。


その定数をオイラーの定数(γと書きます)といいます。(そのまんま!)


式で書くと・・・


数学美術館 -オイラーの定数

と書くことができ、この値は


γ=0.577215664901532860606512090082402431042159335939923598805767234884867726777 66467093694706…


だそうです。この値が有理数か無理数か、わかっていないそうです。



今、ここで38万kmかなたにたどり着くまでのことを考えます。そんな先では、調和級数の和とlogの面積はほぼ同じと考えて、

数学美術館 -a

とします。

38万kmは380,000,000mですので、


log(n)≒380000000


よって



数学美術館 -bb

となり、常用対数で取ると



数学美術館 -c

となります。


ここで、2<e<3ですので、log(2)<log(e)<log(3)であり、常用対数の表ではlog(2)≒0.3010、log(3)≒0.4771なので、代入すると


380000000*0.3010<log(n)<380000000*0.4771


となります。


つまり、nの桁数は1億桁ほどになるということです


宇宙が作られて46億年ですら、日になおすとたったの13桁ほどです。


カメは月に行くまでに1億桁の日数がかかるということでした。



さて、地球の周りを回っている太陽はおろか、宇宙すらそのときまで存在しているか分かりません。太陽が爆発して、地球や月、そして太陽系をふっ飛ばしても、更に何度も太陽系が出来ても、宇宙が何度出来てもまだまだ到着しそうにありません。


とすれば、やっぱり現実的なのはロケットで月に行くということでしょうか…。


よって正解は③印税で稼いだ金でロケットを買って、月に行く!でした~(^ ^)


調和級数の和、1/xの積分、対数関数、常用対数、オイラーの定数などたくさん出てきましたが、どれもおもしろい話でしたね。



最後までお読みくださいまして、ありがとうございました!

(途中式や計算式は全く厳密ではありませんので、雰囲気だけお楽しみくださいませ。)


☆Special thanks to にいむ様☆