気持ちの悪い演算を味わう。
こんにちは。
数学学芸員のようじです。
桜井進さんのセミナーで感動したのは、ある計算でした。
ところで、何千年も前から数学は進歩してきました。
その進歩の過程で、当時は受け入れられなかった概念がたくさんあります。
3世紀、「算術」で有名なディオファントスは負の数が理解できませんでした。
2x-10=0
の解は理解できましたが、
4x+20=0
の解は存在しないと考えました。(考えることが無意味と考えました。)
紀元前5世紀ごろ、ピタゴラスの時代。
彼らは数学の研究を熱心に進めましたが、万物は整数や有理数で出来ていると考え、無理数を認めることができませんでした。
ピタゴラス教団のマーク「五芒星」がくしくも無理数で出来ていることは有名な話です。
ピタゴラスの時代、無理数についての口にすることは大罪だったといわれています。
12世紀のインド。バスカラ2世は
「正数の平方も負数の平方もともに正数である。正数の平方根は正数と負数の2通りであるが、負数の平方は存在しない。どんな数の平方も負数になることはないからである。」
と言っています。
当時は虚数を理解することができませんでした。
虚数が初めて出てきたのはカルダーノの3次方程式の解の公式です。
どれも今では中学生や高校生が学校で当たり前のように学ぶ概念です。
しかし、それらが確立するまではたくさんの偉大な数学者が頭を悩ましてきたのです。
きっと我々には当たり前すぎて「なぜ彼らが理解に苦しんでいたのか、理解に苦しむ」と思います。
そんなアナタのために理解できない気持ち悪さを体感していただきましょう!
1+2+・・・とずっと足していくと、なんと分数になるのです!
「???」と思われると思います。
しかし、これは解析接続という数学を使うと導き出される結果なのです。
リーマンゼータ関数、解析接続、繰り込み理論で調べて頂くと色々と出てきます。
私もこの気持ち悪い計算式を理解するためにちょっと勉強してみます。
(大学時代に解析接続や繰り込みは学んだ気がしますが、全く頭に残っていません!)
2091年には小学生がこの計算を当たり前のように授業で習っているのかもしれませんね。
