ここで、日本最古の踊り子、芸人とされる神・アメノウズメが登場します。
アメノウズメは岩戸の前に桶を置き、その上に乗って足を踏み鳴らし、
身に付けていた衣から胸や下半身も露にして、激しく踊りました。
すると、集まっていた神々が、高天原が鳴り響くくらいの大声で一斉に笑い出したのです。
さて、岩戸の中のアマテラス。
この笑い声を聴いて、何事だろうと天岩戸の扉を少し開け、
「私が岩戸に篭って世界が闇になっているというのに、
なぜアメノウズメは楽しそうに踊って、
そしてみんなはゲラゲラと笑っているの!?」
と質問しました。
アメノウズメは踊りながら答えます。
「アマテラス様よりも、ずっと貴い神が表れたので、
みんなはそれを喜んでいるのですよ」
自分よりも貴いというその神を探そうと、アマテラスはキョロキョロと辺りを見回しました。
すると、側の木にかけてあった『八咫鏡(やたのかがみ)』が目に入ります。
アマテラスは、その鏡に写る自分の姿を見て、
「あれが私よりも貴い新たな神なの?」
と、まんまと勘違い。
その姿をもっとよく見ようと岩戸をさらに開けたとき、
近くに控えさせていた力持ちの神が、
アマテラスの腕をガッと掴んで引きずり出しました。
その隙に岩戸の扉に注連縄(しめなわ)を張って、
「アマテラス様、もう2度とこの中には入らないで下さい!」
と注意すると、アマテラスは反省し、
もう引きこもらないことを約束しました。
アマテラスが岩戸から出ると、無事に世界は光を取り戻しました。
…ドラクエ3でゾーマを倒した時のように。
ついでに、神々はこの事件の元凶であるスサノオのヒゲと手足の爪を切って、
高天原から追放したのでした。
ちなみに、この話に出てきた
『八咫鏡(やたのかがみ)』
『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』
は、後に『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』と合わせて
『三種の神器』となります。
天皇は代々、この『三種の神器』を継承してきました。
そして現代にも継承されています。
『八咫鏡(やたのかがみ)』は三重県の伊勢神宮に、
『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』は愛知県の熱田神宮に、
『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』は皇居に、
それぞれ安置されているそうです。
そして、新たな天皇が即位する儀式では、
『三種の神器』のレプリカが使われるのだそうです。
ただ、『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』に関しては、
1185年の『檀ノ浦の戦い』(源義経率いる源氏軍が平家を滅ぼした戦い)において、
当時の帝であった安徳天皇と共に海に沈んでしまったとする説もあります。
この『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』がどうやって生まれるかが、次の話となります。
次回、ヤマタノオロチ登場!