神々が生まれた天、高天原(たかまがはら)は徐々に秩序を保っていきましたが、
大地は未だに混沌として漂っていました。



そこで『別天津神(ことあまつかみ)』は大地を完成させるよう、イザナギ・イザナミに命じます。


そのためのアイテムとして、別天津神は『天沼矛(あめのぬぼこ)』をイザナギとイザナミに渡しました。


彼らはその天沼矛を使い、混沌とした大地をかき混ぜました。
この時、矛から何故か塩が滴り落ちたそうです。
イザナギとイザナミの汗の結晶かなんかだったのでしょうか。
それが大地に降り積もり、島が出来ました。

その島を『オノゴロ島』と言います。

イザナギとイザナミはこのオノゴロ島に降り立ち、暮らすようになりました。





さて、イザナギとイザナミ。

そろそろお互いを異性として、意識するようになります。


オノゴロ島で、こんな会話がありました。

イザナギ「ねぇ、イザナミ。君の身体はどんな風になってるの?」

イザナミ「私の身体はね、ちゃんと成長したんだけど、1ヶ所だけ成長していない所があるの。」

イザナギ「そうなんだ…。実は俺の身体もね、成長したんだけど、1ヶ所だけ成長し過ぎちゃった所があるんだ。
あのね、これから、俺の成長し過ぎちゃった部分を、君の成長していない部分に刺して塞いでみようと思うんだ。
そして、このオノゴロ島以外にも島を産み出さないか!?」


回りくどい表現ですが、この会話の内容、理解して頂けたことと思います。


成長していない部分、成長し過ぎた部分が何を指すのか。

ね。


この会話のあと、女性のイザナミの方から最終的な誘いがあり、
なんやかんやあって、イザナミは子どもを産みました。


しかし、産まれた子の『ヒルコ』には障害があり、3歳になっても足が立たず、
舟に乗せられて海に流されてしまいました。

さらにその後に産まれた『アハシマ』も同じく障害があり、ヒルコと同じように流されてしまったのです。



イザナギとイザナミは悩み、別天津神のところへ相談に行きました。

すると占いによって、

「あ~、これはアレだね。
最終的に女のイザナミから誘って子ども作ったからそうなったんだね。
男の方から誘って作れば大丈夫よ。」

との結論が出ました。



なるほど、と思ったイザナギとイザナミはオノゴロ島に帰り、
今度はイザナギから誘って子どもを作りました。


そして産まれたのが、順に

淡路島

四国

隠岐島

九州

壱岐島

対馬

佐渡島

本州


の8つの島で、これらを総称して

『大八洲(おおやしま)』

と言います。

つまり、日本列島です。


この後もイザナギとイザナミはいくつかの島を産み出しました。


これが『国産み』の神話です。



ちなみに国産みの話に、北海道は含まれません。

日本神話は主に古事記・日本書紀(まとめて「記紀」と呼ぶ)の記述が基になっています。

「記紀」が書かれた奈良時代の朝廷の領土を天皇が治めることを、
神話によって正当化しようという目的があるわけです。


北海道が日本の中央政権に組み込まれるのは、
奈良時代から遥かに下って豊臣秀吉の頃。
しかし、豊臣政権期も江戸時代にも北海道の一部しか実質支配出来ておらず、
北海道全土が正式に日本の国土となったのは明治になってから。
150年も経っていないのです。

神話が作られた当時の「日本」の概念には、北海道は入っていなかったわけです。

同様に、沖縄なども。


後年、明治以降に日本が領土を増やしていくなかで神話の解釈を変えて、
他の島や地域も神話に書かれていたとして支配の正当性を主張した、なんてこともありました。

以上、余談。




さらに余談。

イザナギとイザナミの最初の子ども、ヒルコとアハシマは、
神話ではイザナギ・イザナミの子としてカウントしません。


海に流されて可哀想な気もしますが、
後にヒルコは七福神のひとつ『恵比寿』として、
アハシマは婦人病や安産祈願の『淡嶋神社』として、
きちんと祀られたとする民間伝承や信仰が残っています。

ただ、恵比寿に関しては由来がかなり多岐にわたりますけどね。

が、それはまた、別のお話。