長い長い時間ぼんやりとしていた。
視界もぼやけている、
歩いて走ってやっと辿り着いた扉を開き、
"此処なら落ち着ける"と、
ゆっくりしていたら
"此処はあなたの居る場所では在りません"と、
見たことも無い輩に追い出される。

道脇縁石に、
"此処なら大丈夫か"と、
しゃがみ込んでみたら
"此処で止まることは赦されません"と、
随分前に追い越していった奴らが煩く告げ口をし始める。

"その辺に居るなら邪魔しないだろ"と、
考えているだけでも、
自分辺りを見ていると、
"進まない者、人と見成さぬ"と、
数え切れない立て札が並び立ち考えすらできない始末。

"ならば、進むのも止め、古里帰ろ"と、
郷愁耽るも、
来た道さえも思い出せず。

隣を見ると、
嗤いながら手を差し伸べた薄気味悪い人間が、
"お前の事を教えてやろう"と、一呼吸もつかないうちに両手を引っ張り地べたに打ちのめされると、
何枚もの手紙を目の前に落としていく。

見覚えのある手紙を指差し、
"これがなんだか知っているか?"と、
尋ねられたが記憶が曖昧なので、
"忘れました"と、
応えると、
"忘れたはずはない思い出せないのは思い出したくないからか?"
と言い始める。

訳の分からない時間にだんだん頭がぼんやりしている、
"忘れました。もう心には何も浮かびません。"
自分が解らない自分の事を教えられる気持ち悪さと云ったら逃げ出したく成るが聞かないなら何処へも行けない休むことも出来ないので聞くことにする、
"お前が何処に向かうのか教えてやる。
お前は手紙を書いた人間を殺した。
この手紙を書いた何人もの人間は、お前に助けを求めたのに見ようともせず、救いを求めながら死んでいった。
お前が殺した奴らに代わり、私がお前を殺しに来たんだ。"
やっと楽に成れるなら構わない、
"ならば早く殺せばいい。
お前に殺される前から死んでいるようなものだ"と、
少し大きな声で言いきると、
"お前はお前を殺してきた
助けを求めて書いた手紙も誰にも見せずに
救いを求めさまよいながら疲れ果て
何も出来ないのまま人の気持ちを忘れようとする
時には人を傷つけそれさえも忘れ傷つけられたふりをする勝手な輩だ
お前が勝手に生きてきた罪を改め命乞いをするなら助けてやる"
ますます訳の解らない事を話し立ててくる。
自分では何が何なのかも解らない。
"命乞いなど必要無い
勝手に生きてきた罪ならば勝手に無くそうとも自分の勝手だ
お前の指図などどうでもいい
殺すなら殺せ
でなければ自分から失っても構わない"
“どこまでも手前勝手な人間だ
お前の命などすでに無いものと同じ
まして自分で失おうなどとふざけた物言いをしやがって気に食わぬ
何も出来ない事を恥じながら
周りの人間を不幸にして来たことに蝕まれながら
永遠に孤独と生き続けろ
それがお前に与えられたら唯一の罪滅ぼしだ
罪は積もった去ね”





それから何日たったのか解らない。
未だに生きている。