米国ビジネスレビュー

米国ビジネスレビュー

海外のビジネス系新聞記事のご紹介と、その他雑感。

 
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前回記事の補足を少し。

Wiiの売り切れに関して、「販売機会があるのに、生産が追いついていないのは、機会損失だ。」という方がいました。

確かに食料品のようなコモディティの場合は、売り場においてない時点で機会損失となります。消費者は別の店で買う(もしくは、買うこと自体をあきらめる)ため、二度とその販売機会は訪れません。

が、Wiiのような十分に差別化された商品においてはこのようなことは起こりにくいです。(まったく、起こらないとは言えません。他のゲーム機を買う。もしくは、まったく買う意志をなくすかもしれません。)
むしろ、「売り切れ」のニュースが流れることによる無料での宣伝効果の方が計り知れないです。

つまり、

宣伝効果-機会損失>0

である限り、売り切れは任天堂に対してプラスに働きます。
そして、過去のNintendoDS、ひいてはファミコンの経験から、これは成り立つことが分かっています。

ただ、この結果はWiiがその他2機(PS3、Xbox360)と、販売対象が異なる時にこそ最大化されます。(つまり、機会損失が最小化するとき、です。)
遅ればせながら、第3世代ゲームについての感想を少し。

【Xbox360】
これは去年発売されたものですし、特にコメントありません。通常のXboxとの違いも明確に打ち出せてはいなかったのではないでしょうか。映像はきれいだ、という噂です。が、ソフトメーカーにとってはそれだけ開発コストの上昇を招きます。
ただ、マイクロソフトにとっての強みは基本的にゲームとOSのソフトとの関係は同じだということです。(パソコン+OS=ゲーム機+システム)(アプリケーションソフト=ゲームソフト)。
つまりOSにとっても強力なアプリケーションは武器であり、ゲーム機にとっての強力なゲームソフトは武器である。だから、ソフトの開発者のことを考えて設計する必要がある。
このことを十分に認識でき、かつ実現できる、という意味で強いと考えます。

【Playstation3】
これはよくわかりませんが、ブルーレイとセットにしてしまったのはどうなのでしょうか?これには、今後のDVD規格競争への布石の意味もありますので、PS3単体が成功かどうか、だけでは評価はできません。
が、あまり良くない、とだけは言っておきましょう。

【Wii】
攻めたな、という印象です。
まず、あのコントローラー欧米では確実に受けると思います。パーティー需要を取り込めるでしょう。(これが意外と侮れません。)日本では既存ゲームファン層への受けは、あまり良くないと思いますね。
明らかに任天堂は、他のゲーム会社2社とは違う戦略・違う次元で戦っています。任天堂の目的は、今までゲームをしなかった層への「市場の拡大」であり、既存コア層への売上は犠牲にする覚悟でしょう。(DSはその布石ですね。)
「敵は消費者の無関心だ」という社長の言葉にもその決意が表れています。

任天堂はこういう企業戦略、非常に得意です。

どのゲームも持っていませんし、実際に見たこともありませんのでなんとも言えませんが、個人的には任天堂に好感を持ちました。


※投資推奨ではありませんので、注意してください。どんなに素晴らしい会社でも現在の株価水準によっては最悪の投資対象になってしまいます。
今日も特に面白いニュースはありませんでした。
なので、1ヶ月ほど前のニュースから書こうと思ったことを備忘録として書いておきます。

そのニュースは、「グーグルの新聞広告ビジネスへの進出」についての記事でした。ここで、まず断っておきたいのは、僕はテクノロジー・IT系に特に強いわけではないので、あくまでビジネスとしての視点で書きます。もし、間違ってるな、ということがありましたら、是非教えてください。

このビジネスを簡単に図で表すと、
       
広告クライアント① → 新聞社①
広告クライアント② → Google → 新聞社②
広告クライアント③ → 新聞社③

こんな感じですね。(我ながら、わかりにくい)
従来は、新聞社は印刷の直前まで、ニュース記事がどの程度の分量になるのか予測できなかったため、予定広告を少なめに見積もっておくしかなく、広告スペースを十分に活用できていませんでした。
しかし、Googleを使えば、直前になってからの広告クライアントの要望も受け付けることが出来、収益の拡大が見込めます。

同様のことをラジオ広告でも行う予定だそうです。

ここから、Googleの明確な意思が読み取れます。
つまり、Googleはアプリケーションなどの技術開発力・サーバー構築力(?)等で知られてきました。が、今後目指すのはインターネットの枠を超えた、全広告市場のディストリビューター、ということです。

Googleは、技術だなんだというよりも、ビジネスの上でのポジショニングが非常にうまいです。
まず、一連のフロー(上記の図のような)の中で、最も儲かるスイッチボードのポジションを押さえています。
しかも、それはネットを使わなくては実現できないビジネスであり(つまり新しく生まれたビジネスチャンス)、デファクトスタンダードになれます。

【デファクトスタンダードを取る利点】
・価格コントロールが利く。
・研究開発費の分散。
・規模の経済。        など。


こういうところが、経営陣への信頼を生み、また多少PERが高くなったところで容認される要因だと思います。


※あと、余談ですが、日本においてこのようなディストリビューターの役割を担っているのは、電通等の広告代理店です。
 広告をどの媒体に配分するか、どのような内容にするか、等を全て決定しています。(クライアントはほぼ丸投げでしょう。)
 アメリカにおいては、このような組織はあまりなく、純粋に広告作成業、となっています。
 その影響かどうかはわかりませんが、海外の広告は日本の広告よりおもしろい、と言われていますよね。
「米国ビジネスレビュー」と銘打っておきながら全然アメリカのビジネスの話を書いていませんね・・・。
最近は特にコメントしたいニュースのなく、あったとしても「あ、これ書こう」って思ってから時間が経ってしまい、「今さらね~」って思ってしまって書けないのです。

今日は、読書について書いてみたいと思います。
小説などの娯楽目的の本もあるかと思いますが、今回は自己修養のために読む本(ビジネス書・哲学書・科学書・等)に限定して。

その中でも色々な目的があると思います。
① 知識を蓄えるため。
② (自分の中の)思考のフレームワークを磨くため。
③ モチベーションアップ                      など

しかし、もちろんですが、ただ読んだ、ということには何の意味もありません。よく、自分は1年に○○○冊本を読んだ、と言われる方がいますが、それ自体には何の意味もありませんよね。当然ですが。

まず1回しか読まないような本からはほとんど何も得られないと思います。100冊の本を1回ずつ読むよりも、10冊の本を10回ずつ読む方が、明らかによいと思います。

そう考える理由は、読書は多くを「読み手の吸収力に依存するもの」だと思うからです。
たった一度の読書では、その時の自分の実力・心理状態・体調を反映した程度のものしか読み取ることはできません。それでは、どんな名著でも味わい尽くすことは出来ないと思います。人は半年も経てば少なからず成長しているものです。半年経って同じ本を読み返してみると、1回目ではまったく気付きもしなかったことに気付くでしょう。

また、僕はアマゾン等の評価(星の数)も気にしません。
どんなに素晴らしい本でも、吸収力の足りない人は悪い評価をつけるからです。経験的には、5ツ星の本より、3~4ツ星の本の方が良いような気がします。

また、読みたくない時は読まない、ということも重要かと思います。
勉強せねば、という気持ちがあるのは良いことですが、本当にその本に書かれているものを求めている時でなければ「真の吸収」はできないような気がします。

以上、あくまで僕の場合、ですけどね。

最後にお勧めの本をいくつか載せておきます。

バフェットからの手紙 - 「経営者」「起業家」「就職希望者」のバイブル
世界最高と謳われる投資家、経営者。本人の著作はないが、この本は氏が経営するバークシャー・ハサウェイの年次報告書を編集したものであり、氏自身が、最も気に入っている本だと言っている。ファイナンスの知識なしでは正直難しいかとは思いますが、手元に置いて何度も読んで頂きたい。するめのような本です。

企業価値評価―バリュエーション;価値創造の理論と実践
バリュエーションに関する本は数あれど、この本が最も良いと思います。多少難解ではありますが、繰り返し読むうちに理解できるはずです。

書いてたらきりがないですね。笑
とりあえず今回はこのぐらいにし、後で分野別にアップすることにしましょうか。(後で、って最近多いですね。)
最近体調を崩しており、更新が滞っていました。
アメリカは現在サンクスギビング中ですので、大きなニュースもありません。
ボストンで見聞きしたことでも書いてみようと思います。

一番考えさせられたのは、「バリュートラップ」に関してでしょうか。

「バリュートラップ」とは、バリュエーション的には割安な銘柄が、長期間割安のまま放置される現象のことです。
バリュー投資家にとっては、致命的な現象ですよね。
以前にも書いたと思いますが、たとえ割安な銘柄を買い、その株の価格が上昇したとしても、その実現までに時間がかかりすぎてしまえばパフォーマンスが犠牲になります。

この現象は特にアジアに多いとされ、その原因は、企業価値について理解の少ない投資家が多いからだと言われています。

が、この現象の影響は全銘柄に対して平等ではありません。

機関投資家が手を出しやすい大型の銘柄に関しては、このような「バリュートラップ」はほぼ存在しません。
最も影響が大きいのは、時価総額100億円未満の小規模銘柄群でしょう。


2003年~の上昇相場に乗って、値動きの軽い小規模銘柄は文字通り爆騰しました。
今後は少し慎重になるべき時期に差し掛かっているのかもしれません。


ちなみに、「バリュートラップ」を乗り越えることのできる銘柄群も少数ですが、確かに存在します。
時間経過とともに、価値を上昇させることのできる企業の株、です。
見分けるのはかなり困難ですが。

(これについても、また後日ですね。まだ病みあがりなもので。)
明日ボストンに発つため、少しばたばたしています。
東海岸に行くのは久しぶりなため、楽しみです。
ボストンといえば、シーフード有名ですからね。

ここ1ヶ月、プライベートイクイティーファンド(PEファンド)の動きが活発ですね。
新聞に名前が載らない日はないくらいです。
直接の用事とは関係ないのですが、そこらへんも少し聞き込みが出来たら、と考えています。

日本とアメリカでは投資ファンドもまったく違った動きをします。
日本では長銀買収の際にリップルウッドが「ハゲタカ」と呼ばれ、メディアから攻撃されましたが、結局は途中で売り抜けることもせず立派に再生させました。(もちろん、莫大な利益は出たかもしれませんが。)

アメリカでは、まさに「ハゲタカ」と呼ばれても仕方のないようなディールが増えています。
簡単に書くと、
・大量の借入をし、リバレッジをかける。
・そのほとんどを配当にまわす。
・1年以内に売り抜ける。
このパターンです。

ちょっと時間がないので続きはまた今度にします。
何事にも守るべきものとそうでないものがあると思います。
もちろん投資に関してもそうでしょう。(パフォーマンスを最大化するために、という前提で書きます。「この会社を応援したいから、ずっと投資したい」という場合はこの限りではありません。)

僕は、投資に関しては基本的にファンダメンタルを重視します。具体的には、DCF(Discount Cash Flow)等を使って各企業の理論価値を算出し、投資先を選別します。ただ、ファンダメンタルを重視する場合には、どうしてもファンダメンタルに固執しすぎてしまいやすくなります。

「理論株価を考慮すると、今の株価はおかしい。」、「絶対に値は戻るはずだ。間違っているのは市場の方だ。」、そんな意識になってしまいます。

しかし、ファンダメンタルや理論株価に固執しすぎるのは危険なことです。まず、一番大きなリスクとしては、自分が間違っているというリスクです。手法事態の間違い、自身の計算の誤り、将来の展望予測の誤り(これが最も多いと思いますが)・・・。どれ一つとっても否定できませんし、特に将来展望に関しては数日~数週間のリサーチぐらいでは大きな誤差が出る可能性は高いです。

仮に自分に間違いはないとしましょう。そうだとしても、その妥当な株価が周囲に認識されるまでにどれだけの時間がかかるか、ということを考慮しなくてはいけません。その会社は、実は黒字に転換しそうなのに周囲に認識されてないのか(これなら決算の時ですね)、もしくはセグメント全体が弱く見られているのか、等、その理由によって必要な時間は異なります。それまでの間、自分は株価下落、もしくはずっと動かない株価に耐えられるのか?

(ここら辺に関しては、また後ほど詳しく書きます。)


つまり、僕にとって絶対的に守るべきものは、「ファンダメンタル」ではありません。
重要なのは「パフォーマンス(少なくとも、インデックスには勝つこと)」です。
僕もかつてはファンダメンタルに固執していました。そのせいで、かなりパフォーマンスを犠牲にしていたと思います。ファンダメンタリストの代表のような存在、ウォーレン・バフェット氏もアービトラージ(裁定取引)により大きな収益を上げています。要は、バランスだと思います。

宮本武蔵の五輪書には重要な示唆があります。
・とにかく、勝つこと。
・流派、武器にこだわらないこと。

また、将棋の羽生氏も「自分の型にこだわり過ぎないこと」とおっしゃっていました。


要は、ファンダメンタルにこだわり過ぎないで頂きたい、ということです。
市場環境が悪い時には撤退する、他の手法を試してみる、こともいいと思います。
もっというなれば、株式にこだわる必要もないと思いますし、投資国にもこだわる必要はないと思います。(ここについても後日また書きます。簡単に言うと、長期的には株式がよい、ということです。)
前回記事 の最後に書いた利益モデルの会社とは、「吉本興業(9665)」、でした。

この利益モデルで最も重要なのは、モデルの底辺の部分である、タレント集め・及びその独占率です。
この点で吉本興業は他社を圧倒しており、「お笑いと言えば吉本」というブランドを確立しています。
さらに、吉本総合芸能学院(NSC)によるお笑い芸人養成まで行っています。

映画タレントとは違い、簡単に事務所を移ったりもしません。
給料が高騰しても、それはテレビ局の支払いであり、逆に歩合を取る吉本興業は儲かります。

他にも色々理由はありますが、今日はこのへんで。



※かといって、この銘柄の購入を勧めているわけではありませんので、ご注意ください。強固な利益モデルだけでは、株式を所持する理由にはなり得ません。
株価の下方修正リスクについて。

もちろんすべての下方修正を予測することは不可能ですが、そのうちのいくつかは予測可能です。簡単なところで言うと、所持有価証券の価格下落リスクです。

まず、企業がもつ有価証券は二種類に分けられます。
流動資産に含まれる「売買目的有価証券」、その他資産に含まれる「その他有価証券」です。
そのうち、「売買目的有価証券」は時価で評価され、四半期ごとの決算報告でも損失または利益が計上されます。

しかし、「その他有価証券」の損失は資本の部には表示されますが、四半期ごとの決算では利益から損失を差し引く必要がありません。
ので、本決算前になって急に利益の下方修正報告が出されることになるわけです。

特に今期は新興市場株の中にも高値から半分~四分の1までおちている銘柄が多いので要注意です。
キャッシュが余っている会社は資産運用目的として新興市場株を買っている場合がありますので、大量の含み損を抱えている会社もあるはずです。

僕が見つけたところは、今期利益が半分程ふっとびます。
ちなみにそこは、見事に最高値を掴んでおり、時価は取得額の約四分の一です。電話で確認してみると、今期終わり頃までに株価が戻らなければ、下方修正をする、とのことでした。
そもそもなんでその会社の株を買ったのか、と聞いてみると「シナジーが・・・」とお決まりの返事でした。

会社の本業は素晴らしいのですが、残念です。


※もちろん、今期中に株価が戻れば損失は消えます。
※会計専門家の方、間違いがありましたら修正お願いします。

だいぶ期間が開いてしまいましたが、本日のニューヨークタイムズに以前書き込みをした内容の関連記事が出ていました。簡単に要約すると、映画制作会社が俳優・脚本家に対する支払いを減らす交渉をしている、というものです。

まさに、以前書いたような状況になりました。

実はあのエントリーには続きを書こうと思っていました。
その主題にしたかったのが、今回記事にもなった、俳優・脚本家への影響、です。

1980
年代初頭、マイケル・オーヴィッツという人がタレントエージェンシーを作り、俳優・脚本家をパッケージ化して、映画制作会社に提供する、というビジネスモデルをつくりあげました。

・パッケージになっているので映画制作が楽になる
・タレントの供給源を握っているため、価格交渉力が強い。

この2点において、このビジネスモデルはすばらしいものでした。(「ザ・プロフィット」という本にもスイッチボード利益モデルという名前で紹介されています。)


しかし、サプライチェーンの後工程(この場合は、映画制作会社)で問題が起こってしまえば、どうしてもその前工程(この場合は、タレント)にも派生してきてしまうのです。

もちろん、優位性は変わらないでしょう。

映画制作会社は薄利で、タレントエージェンシーは比較的高利益率になると思います。

しかし、成長は大きく阻害され、投資対象としての魅力は薄れてしまいます。


視野を広げ、全体の影響を考えなければ、投資対象も誤ってしまうかもしれません。


ということが書きたかったわけです。


ちなみに、日本にもこのビジネスモデルに似た会社があります。

そしてその会社は、事業戦略資料を見る限り、たまたまそのビジネスモデルを選択しているわけではなく、しっかりとこのモデルを意識して事業を行っています。


どこの会社でしょうか?

考えてみてください。


エイドリアン・J・スライウォツキー, 中川 治子
ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか