観戦記 ワンヘン・メナヨーシンvsメルヴィン・ジェルサレム | ボクシング独我論~最高の技術と,戦術眼と,知識を,君に~

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試合結果:ワンヘン判定勝利
 
 
ミニマムの巨星ワンヘン・メナヨーシンと戦績11戦全勝7KOのフィリピーノ、メルヴィン・ジェルサレムが争うWBCミニマム級王座戦。王者ワンヘン6度目の防衛戦。

あわやアップセット、世界を驚かせた無名の22歳ジェルサレム。無名挑戦者ながら十分すぎる程の戦力がある。攻防ともに技術あり、スピードあり、見切りも良く、フォームのバランスが良く、即ちボクシングもオールラウンド

その中でも特に目を引くのはやはりパンチ力。顔面ボディへ打ち分けるジャブ、伸びる右、捻
りの効いた右アッパー、初回、2回にいいシーンを作った左フックと各パンチスピードがあり
パンチの質はミニマム級の水準を大きく超えるものがあった。
特に驚異的なのはビュンビュンと振り回す左フック。並外れた筋力があり、また腱の強靭さに恵まれているのだろう。グローブの重さもしっかり活かす打ち方ながらベストヒットのタイミング、アングルを外れた場面でも威力を失わなず本当にパワフルだ。

予備動作なく身体ごと叩きつける様に打つ左ボディ、軸を移しサイドへ動きながら打つ左ヒッ
ク→右ボディフックのコンビと何処かで見たような攻防パターンも。勉強熱心なんでしょう。
強すぎてここ数年で一番インパクトあったよ。


一方の王者ワンヘン、このパワーのある相手に対し持ち前の中間距離でのボクサーファイト→距離を狭めてのリターン狙い→スタンスを切り替えてのボクスと距離と手筋、ボクシングを目まぐるしく切り替え薄氷の勝利を挙げた。
インターセプトを持ち味とするディフェンス形質上、相性最悪、そして戦力もあり本当に強い、ハッキリ言って敗れてもおかしくない相手に対し、本当に、本当によく勝ったと思う。
クレバーなメンタル、戦術眼あり、そしてそれを実行できる技術あり、攻防共に隙がない。心技体の揃った、本物の名王者だ