観戦記 ジェスレル・コラレスvs内山高志Ⅱ | ボクシング独我論~最高の技術と,戦術眼と,知識を,君に~

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試合結果:コラレス判定勝利

 

 

持ち前のクレバネスと忍耐力が悪い方向に働いた内山とそれにより力を発揮できたコラレス、という印象の試合。

 

コラレスについて。現時点ではスペシャルな選手とは思わないがある種の天才だと考える。
そう考える要素は以下の通り

 

1.クリンチ、ホールディング
タッチ&打ち逃げと合わせて多用したがどうにも板に付かない感じ。身体を入れ替え、頭を逃し、距離を潰し抱きかかえたが腕、腋の極め、打点の抑え、といった細部が甘く手際の悪さが目に付いた。内山もそれを良しとし無頓着なスタイル、また引け腰もあり悪い意味で噛み合ってしまったがホールドワークに長ける相手には組み際、離れ際を狙われそう。ってな印象だったが終盤になるにつれ深く、硬く、組みと極めのクオリティが向上、見栄えも良くなっていった。慣れや展開によるものというより、本人の優れた対応力、応用力、学習能力により試合の中で成長したよう感じた。

 

2.パンチの配分
序盤、右一辺倒の相手に対しアウトサイドから高低へのジャブの打ち分け、初動に応じ右グローブの内外を左右リードで牽制。パンチを用いたディフェンスワークはテンポの速いアマではなかなか培われるものでなく、プロキャリアも浅いが細かな内外高低の打ち分け、ヒッティング、マーキングと使い分けもあり確かなセンスを感じた。パンチの抑止力、クオリティを磨けば一級品になる素質があると思う。


内山について
終盤、出ざるを得なくなった局面で出て、結果見事にチャンスを掴んだがそれまでは終始後手後手だった。戦前のコメント通りブロッキング主体でしっかり守り~、の意識は随所に感じさせられたが肝心の相手が思いの外ディフェンシブで目眩ましの軽打や打ち逃げの複合動作中心だった。本命パンチ、それに繋ぐような意思のあるコンビを打ち込んでこなかったため、距離と時間を埋める必要に迫られ中途半端な体勢で左を塗す事になり悪循環に陥った。

 

p.s.
力は全く落ちていないと思う。という事は本人が一番理解しているはず。次戦次々戦に期待大、だ。