観戦記 クブラト・プレフvsサミュエル・ピーター | ボクシング独我論~最高の技術と,戦術眼と,知識を,君に~

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試合結果:プレフ3回終了棄権勝利

 

 

前戦でデレック・チソラを下したクブラト・プレフと"ナイジェリアの悪夢"サミュエル・ピーターが争うWBAインターコンチネンタル・ヘビー級王座決定戦。

 

自身初の母国ブルガリアでの凱旋試合となるプレフ、極端なほどの後傾アップライトから放つシャープなジャブは常に後退のステップとセット。そのジャブを活かした中間距離でのペース支配、刺し合いの中で打ち込む右のキレ味とセンスは相変わらず素晴らしいものがある。

 

この試合ではボディをしこたま打たれた。実際は打たせた、が正しいだろうが左は上体のクイックパワー、右は並進で打ち、ステップと距離によるディフェンスをスタイルとするので重心は常に浮き気味となり相手のボディジャブ、ボディスト、左ボディに対し抑止力となるパンチは皆無。

 

パツパツとジャブを打って後退、打って後退、潜ってきた相手に対してはとにかくホールド。淡白で機械的な試合運びだが無理せず無駄なく合理的だ。現行ヘビー級トップ戦線では最もスタイル的には完成されている選手の一人かもしれない。