観戦記 ドミトリー・ビボルvsフェリックス・ヴァレラ | ボクシング独我論~最高の技術と,戦術眼と,知識を,君に~

ボクシング独我論~最高の技術と,戦術眼と,知識を,君に~

世界各国でボクシングトレーナーをしてきた私が、豊富な海外経験から得た最高の知識を,多角的、鋭角的視点からはじき出した永遠不変の理論を提供します

試合結果:ヴィボル判定勝利





スタニスラフ・カシュタノフ相手に金星を挙げたフェリックス・ヴァレラドミトリー・ヴィボルが争うWBAクルーザー級暫定戦。

前戦では瞬間的な速さによるアドバンテージでリードを重ね、逃げ切ったヴァレラだがこの試合では純粋にヴィボルのスピードが対応可能な閾値を超えていたという印象だ。

ヴィボルのボクシングが特段良かったというわけでも、ヴァレラの動きが悪かったわけでもなく単純にヴィボルの手足のスピードがカシュタノフより一段階速かった。

敗因はひとえににリードパンチとバランスの欠如。基礎が弱いんだな。
この試合でもスイッチを繰り返したがこの選手の場合左右構えでスタイルが異なりオーソドックスではスクエアオープン、サウスポーではクローズドスタンスで構える。
リードジャブはサウスポーでは完全に死に、オーソドックスでは上下肢のギャップとタメで打つスタイルなので可用性と次手へのフォローに欠ける。

8回のダウン、入門したばかりの天才練習生がランカーとのスパーでシバかれていく様を見るよう。基礎力の弱さが露呈したがムービングセンスだけの選手ではない。

負勘の鋭さも。
中盤からスタンスの強さとクロスのカウンターを抑止力とする左構えで戦ったがこれは英断。オーソドックスで戦えばジリ貧、KO負けしていたはず。後半ヴィボルの持つ自身と同様の欠陥を直感し動きを修正、10回あたりからは前傾正対、重心を前に置き戦った。

完敗だったがこの試合まででキャリア通算僅か28ラウンズ。本当に素人だったのかもね。凄い才能だ。

p.s.
この試合内容、ヴィボルもなかなかマズイ。絶賛してるマニアも多いようだが…