分散投資にはリスク低減効果がある、といわれていますが、どのように分散させれば良いのでしょうか?

また、具体的にはどのようなメカニズムでリスクが低減されるのでしょうか?


 資産の分散運用は、1つの運用対象に集中して投資するのではなく、いくつかの異なる運用対象に分けて投資することでリスクヘッジ(危険回避)の手段として用いられます。


よく、この分散運用の効用を説明する例えとして、「1つの籠に卵を盛るな」というものがあります。

この理由は、1つの籠に卵を全部盛ると、籠を落とした時、全部の卵が潰れてしまいますが、もしいくつかの籠に分散して盛っていれば、1つの籠を落としても残りの籠の卵は安全だからです。


資産運用も同じで、極端な例をあげると、全ての資産をA社の株式で運用していて、何らかの原因でA社が倒産してしまうと全ての資産を失ってしまうことになります。


資産の分散運用には3種類あり、これらを組み合わせる必要があります。


(1)同じアセット・クラス内での分散


 同じアセット・クラスの中で分散させるということは、例えば、株式の中でA社、B社・・と複数の会社に分散して運用することです。


こうすれば、A社の株価が個別の要因で下がっても、B社の株価が堅調であれば、全体として、損失を回避できるか、少なく抑えることができます。



(2)異なるアセット・クラスで分散



 1.は同じアセット・クラスの中ではリスクヘッジができますが、そのアセット・クラス全体が下落してしまうリスクは避けられません。


例えば、不況で株式全体が長期的に下落してしまう場合などがそうです。

このような場合に有効なのが、株式、債券、不動産などの異なるアセット・クラスで分散運用することです。


例えば、株式と債券は反対の値動きをすることがよく知られています。

株式と債券に分散運用をしていれば、不況で株式全体が値下がりしてしまっても債券価格の上昇によって資産の目減りを抑えることが可能なのです。
 

 さらに、株や債券と異なる値動きをするカテゴリーの資産(外貨・金・不動産等)を組み入れることによって、より分散効果を高めることができます。


(3)異なる国(地域)に分散



(1)(2)のように同じアセット・クラス内での分散、異なるアセット・クラスでの分散運用を行ってもまだ十分ではありません。


なぜなら、同じ国のなかで分散しても、その国自体の経済がなんらかの個別要因によって低迷してしまう可能性があるからです。


大きなものでいえば、戦争、革命、大規模な災害などがそうです。

またその他にも、政治における経済政策の失敗、高齢化による人口の減少などの社会構造の変化、など様々な要因が考えられます。


最近の例でいえば、90年代のバブルの崩壊による日本の経済の長期低迷、アルゼンチンのデフォルト(債務不履行)、現在進行中のギリシャに端を発したユーロ圏の問題などがあります。


一方、低迷する地域や国とは反対に、繁栄を謳歌する地域や国もあります。

例えば、サブプライム危機以前、アメリカは長期の好景気を持続していましたし、近年、中国を始めとすBRIC’Sと呼ばれる新興国が高い経済成長を実現しています。


 このように、いくつかの国に分散して資産運用をすることによって、1国の経済低迷による資産の目減りを抑えることができたり、反対に高成長の国の恩恵を受けて高い利益を実現したりすることも可能となります。



<世界各国のGDPの成長率の推移>


インテリジェントな人々-  

引用:http://moneykit.net/from/topics/topics87_02.html

私は、基本的には「効率的市場」を支持しておりますが、日本株式に関しては、ある程度理にかなっている「ダウの犬」を基本とした投資法を採用しております。


下記はその銘柄リストです。


*銘柄の入れ替えは1年に1度でOK(毎月銘柄の入れ替えを行う必要はありません)



*銀行株に関しては、業界特有のリスクがあることから、複数銘柄を1銘柄とカウントしたほうが良いと思います。


*NTTとNTTドコモも、NTTがドコモの大株主であることから、2つで1銘柄にカウントしたほうが良いと思います。


2010/5/21
コード 銘柄名 予想配当率 抽出母体
TOPIX Core30 さわかみファンド 野村21
4502 武田薬品工業 4.7  
9437 エヌ・ティ・ティ・ドコモ 3.8    
4503 アステラス製薬 3.7    
8316 三井住友フィナンシャルグループ 3.7  
4704 トレンドマイクロ 3.5    
7974 任天堂 3.3    
9432 日本電信電話 3.1    
7741 HOYA 3.0    
7751 キヤノン 2.9  
8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2.7    

以前、リスクとリターンのお話をしましたが、もう一度復習すると、


①リスクが低ければリターンも小さく、リスクが高ければリターンも大きい。


②リスクの大きさを測る指標として標準偏差というものがあり、これでリスク資産の1年間の変動幅の大きさを表す。


 ということでした。


しかし、リターンとリスクは必ずしも正比例しているわけではありません。


特に、投資信託やデリバティブを使った金融商品の中には、リスクが高い割にはリターンが低いような商品も少なくありません。


そこで、ある金融商品が「とったリスクに対してどれだけの(超過)リターンが得られたか」を表す指標として「シャープレシオ」がよく使われます。


これは次の式で算出されます。


(リターン - 無リスク資産金利) ÷ 標準偏差 = シャープレシオ


(無リスク資産金利は国債の金利。

リスク1単位あたりの、無リスクリターンを超過して得られるリターンを表しています)


このシャープレシオが高いものほどとったリスクに対して高いリターンをあげているので、優れた金融商品である、といえます。


投資信託評価会社のモーニングスター では、独自の評価指標を使って投資信託のレーティング付けをしておりますが、別途シャープレシオの数値も載せているので確認することができます。


ちなみに最近よく販売されている「仕組み債」は、このシャープレシオが低い商品が多いようなのであまり購入しないほうが良いようです。