「笹舟」


人の流れを水の流れに
たとえれば
少しはわかりやすくなるのかな

僕にはすこしだけ難しすぎて
ゆらゆらと漂う
笹舟のように
幾重にもかさなる
水のしぶきの中で
自分の向きを必死に探す

人との関係を水の流れに
たとえれば
少しはらくになれるのかな

僕にはすこしだけ複雑で
ゆらゆらと漂う
笹舟のように
幾重にもかさなる
しずくの中で
自分の場所を必死に探す

ここがどこだろうとも
将来は海にいたり
途中の浅瀬でかすかにうごいたり
花の種をはこんだりするのだろう
川の上を漂うのだろう

それでいい

『形あるもの』

形の無いものから始まった歴史は
ずいぶんと長い時間をかけて
形を追い求めてきた
そして
折り返し地点が今現れようとしている
すべては
形の無いものに戻る

愛を形にしようとした時代
無理矢理豊かさを形にした時代
自由を形にした時代
時はこれからゆっくりと、もとに戻る
形の無いものとして人の記憶にだけ刻まれる。

けれども今は、あなたの手のひらの温もりが
とても暖かい。
だから
愛にだけは形があると、いまはどこかで信じている。
「こころの影」

気が遠くなりそうな程に
泣きたい夜に咲く星の光や
月の光が
ゆっくりと落ちてくる夜には
ほんの少し扉を開く

こころは私に意地悪をするから

形の整いすぎた言葉たちが

容赦なく突き刺さる

夜はなぜか昼間よりも短く

ほんのすこしだけでいいので

本当の眠りを願っているのです

私の心は

うわべだけを切り取ったような

浅い眠りの中で

ほんとうの時間をさまよい

未来という光に照らされて

こころに影をつくる