「車椅子の女性」は、中嶋涼子さん。自称インフルエンサーだ。NEWS23タイトル「一般的な車椅子の女性」から受ける印象とちがうネット上での現実がある。

 

事情を知らない通行人などへのインタビューを取り上げたり、専門家の意見を聞くといった形で4月から義務化される障害者への合理的配慮と関連付けているが、本件はちょっと特殊。

 

事情を知る人からすると、NEWS23の報道内容は中嶋さん擁護に偏っていると思う。

 

この件自体は、中嶋さんとイオン・エンターテインメント双方に問題があるが、中嶋さんはちょっと傲慢だったようだ。中嶋さんが事前にイオン側に電話を入れて対応をお願いするなどしておけば済んだ話。これまでの介助を当然としつつ、これからも当然と奢ったところに問題がある。

 

中嶋さんご自身のX文面からそれが見える。文末には、社長と話がしたいと言い放っているが、現場で介助してくれたスタッフを見下し、自分は社長と話せる立場と誤認しているように見える。これではスタッフの善意も遠のいてします。

 

なお、同席した専門家の視点にも問題があったように思う。コロナ渦以来サービス業界が「お願いベース文化」の犠牲になり続けており、今回も、このわけのわからない合理的配慮義務化の犠牲になりそうだという視点に欠けていたのでは。

 

サービス業は、少子高齢化による労働力不足と、働き方改革の両面から労働コスト上昇に頭を抱える中、合理的配慮義務化で価格転嫁不能な介助要因増加圧力に悩むことになる。それも、あいまいな義務化故にどこまで対応すれば良いのか上限が見えてこない。

 

これは自転車のヘルメット努力義務化でも同じことが言え、やってる感アピールのやりっぱなし法制化が目白押しなのだ。

 

今回の問題は、日頃からお互いの事情を理解して仲良くしていれば起こらなかったことで、合理的配慮には相互性があることを物語っている。