東京の中学受験塾ではだいたい2月に新年度が始まりますが、新学年開始からちょうど2ヶ月、私が心がけたのは、以下のことでした。
新4年生はここから勉強が始まりますので、勉強習慣の定着、テストへの取り組み方を教え、新5年生は勉強のギアを、新6年生はアウトプットの実践法を、といった具合です。
同時に心がけたのは、勉強そのものへの親の干渉を減らすことでした。生活リズムや塾からの教材などを管理していただくのは本当にありがたいのですが、勉強そのものは、勇気を持って見守るに留めていただきたいと考えています。
熱心な親御さんは、家で講師のように教えられます。こうしたことができる熱意、卓見には感銘を受けますが、ほとんどの塾講師(アンケートをとったわけではないですが断言してもいいです)はやめてほしいと思っているはずです。
理由は以下の4つです。
①家と塾でメリハリをつけて欲しい、塾ではインプット中心、家ではアウトプット中心に勉強してほしい。
②子どもは得てして大人から見ると鈍いもので、そうした我が子の振る舞いは親子関係の悪化につながるから。
③訓練でも受けていない限りは、ヒントを出しつつ導く教え方は難しいもので、そうすると、子どもの望みに応じてすぐ教える形になります。それは親が宿題をこなしていることと変わりません。
④親はたいてい不要に焦るものです。そうした焦りが子どもにこなしきれない負担をかけることになります。有名中学受験講師ほど、なかなか参考書を書きませんが、それは、子どもの負担でしかない市販教材が増えることを良いと思わないからかもしれません。
なかなか効果が出ないこと、子どもにギアが入らないこと、大人目線から見れば大抵の塾のカリキュラムが甘く見えること、それを子どもがこなしきれないこと、そうした諸事に焦る気持ちはわかるつもりです。
しかし、その焦りからの行動がより不幸な結果を招くことにも、想像力を働かせて思いを馳せてください。ぜひ、勇気と根気を持って見守ってください。心配事は行動に移されず、ぜひ我々にお伝えください。内容が退塾に至るものでも、我々は本人と親御さんに良い結果をもたらすものであれば、引き留めません。
アドバイスというよりは、そういう不幸はもう見たくない一塾講師からのお願いです。