本日は、水の対流に関する問題を扱います。
水の対流は、密度の違うものどうしでは起きにくいということを論じることになりますが、言われてみれば当然に思うものの、授業でそういうことは説明されないことが多いことから、考えることができる受験生と、考えることが苦手な受験生で結果が分かれた問題であったように思います。
理科的思考力をためすことができる問題ですので、ぜひ試してみて、今後の学習に役立ててください。
問題
2つの同じコップに、それぞれ200mLの水とオレンジジュース(ともに15℃)を入れ、それぞれに同じ大きさ、形状の氷を浮かべました。
このとき、水とオレンジジュースのどちらに入れた氷がはやくとけますか。氷のまわりにできた、とけたばかりの水の層がその後どのように動くかに注目して、そのようになる理由とともに答えなさい。
解説
まず、氷がとけたばかりの水の層は冷たい水です。冷たい水は温かい水よりも密度が大きいので下に沈みます。熱の対流によって風呂が温まるのと同じ仕組みです。一方でオレンジジュースは、水に比べて密度がはるかに大きく、生活経験として、氷の解けたオレンジジュースの上部に水が広がっているのは見かけたことがあるかと思います。
そうしたことをふまえると、氷の周りから冷たい水が対流によってなくなる水の方が、はやく氷をとかすということが分かります。
解答例
水の場合、氷からとけたばかりの冷たい水は沈み、氷のまわりに温かい水が浮かび上がってくる対流が起こるが、オレンジジュースの場合、オレンジジュースの密度が氷からとけたばかりの水よりも大きいので対流が起こらず、氷の周りの水は氷からとけたばかりの冷たい水になるので、水の方がはやくとける。