本日は地場産業に関する問題を扱います。
中学受験社会でさわりをふれることはありつつも、なかなか深い話をしない分野なので、少し難しいかもしれません。
ただ、地域創生の必要がいわれる昨今、地域創生のモデルのような地場産業に対する注目度は上がって来ています。10年、20年先の社会で活躍する現小学生の皆さんには、そうした未来のタネに目を向けてほしいとの学校からのメッセージなのかもしれません。
問題
地場産業について、同業者のライバルが増えるというデメリットがあるにもかかわらず、一定の地域に集積するのは、いくつかの立地上の利点があるためです。この利点として考えられることを、1つ説明しなさい。
※地場産業とは
地場産業とは、ある特定の業種につき、一定の範囲に地元の中小企業が集中的に立地する産業を指します。地場産業で有名なのは今治のタオル製造業、豊岡のかばん製造業、鯖江の眼鏡製造業などです。
具体的な中身としては、その地の江戸時代からの伝統的な産業そのものや、その派生、明治時代以降発展した産業などがみられます。
解説
同じものをつくる産業が集まると、過当な価格競争、熟練労働者の奪い合いなど、悪い面が目につきます。
しかし、一方で、その地場にあることが製品への信頼につながることもあります。たとえば、兵庫県豊岡市のかばんは、高品質、デザインの秀逸さで知られ、豊岡市にある○○社のかばん、ということよりは、豊岡市でつくられたかばんとしてブランド化されています。その町に工場があることが自社製品の信用を裏付けているのです。また、そうした評判をもとに、地域の同業者と協力して共同のブランドとして販売網をつくり上げるなどして、より広く販売先を広げることもなされています。
また、たくさん同業者が同じ町にいることは、技術開発の上でも有利に働きます。実際、今治のタオルは品質だけでなく、その機能性の高さでも知られています。
他にも、ほかの土地では得られない製造に適した水や資源などの環境の要素も、地場にあることのメリットです。
解答案
・地域の同業者と協力してブランド化することで、販売先を拡大することができる。
・多くの同業者がいることにより、技術開発が行いやすい。