本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
研修から戻った承太郎と部下の前田は
人事部の倉持の所へ講義を受けに
やってきました。
第149話:繁忙期変動計算の季節指数
売上予算の組み方はそれぞれの会社で
個別に違うと思いますが、
まず年間計画として売上予算を計画し
その予算を分割して月間売り上げに
落とし込んで作成していきます。
年間で2000万売る計画
↓
月間で167万
↓
日商5万6千円
という計算が出来るように
分割して細分化する計画なのですが
1年という長い期間だと売上が
常に一定という事はありません。
当然10万円売上が上がる日もあれば
3万円しか売上が無い日もあります。
週末、祝祭日、イベント日、ボーナス日、
年末年始など時期や季節によって
様々な要因で変動がある事が
予想できると思います。
例えば、海に近いコンビニで
毎年夏に海水浴客がにぎわい、
弁当やおにぎり、海水浴グッズが売れて
売上が冬の2倍になるのは
地域や環境によって変化する要因が
強い為です。
この様な変動も含めて表したものを
季節指数と言います。
これはなぜ必要なのかと言うと
季節指数を指数化して予算を立てる事で
目標予算と実際の売上とのブレを
減らす事が目的です。
季節指数は経営では
良く使われると思いますが
算出方法は一番簡単なやり方を利用し
以下のように計算しています。
例えば、
月別平均売上=
各月の売上げを3年分集計
その合計を3で(3年なので)割ります。
1カ月当たり平均売上=
各月の平均売上を合計
12で(1年なので)割ります。
各月平均売上を1カ月平均売上で
割ります。(合計は1200%になります)
年間の予算を12で割り、
季節指数をかけたものが
予測予算となります。
前田
「さっぱり理解できません」
知っている人なら理解できますが、
知らない人は何が何だか
よく解りませんよね?
そう言うと倉持は図で
説明を始めました。
倉持
「それではおさらいとして
表で説明していきます。」
a.売上を3年分各月に記入します。
b.3年合計と3年平均も計算し記入します。
¥31,358,167と言う金額を
12カ月なので12で割ります。
¥2,613,181と言う金額が出ます。
1月の季節指数は、
1月の3年平均の金額
¥21,931,500を月平均ベースで
割ります。
この欄の様に
%表示して表したものが
季節指数になります。
例えば4年目の予算を組む場合、
年間予算を3年目より増やしたいので
¥30,000,000で組むとします。
これを12カ月分に割って
¥2,500,000になりますが、
1月の月間予算を立てる場合、
先ほどの季節指数の1月の欄で出た
112.2%を掛けると
結果は
¥2,805,000になります。
この金額が季節指数を反映させた
月間予算になるのです。
表を見れば解り易いと思いますが、
1月や12月が売れている月で
2月や6月は%の数値が低いと思います。
これを参考にして予算を立てて、
売上の低い時にキャンペーンを行ったり
人件費や経費を抑える事で経費削減や
利益を生み出していく施策を
計画する事が出来るのです。
つまり、
季節指数の%表示が大きい月は
自分のお店の過去の傾向として
忙しい事が解り、
季節指数の%表示が小さい月は
過去にお店が売上を落とした月の
平均値が出ていると言う事です。
以上のように
季節指数が重要と言うよりも
データを分析し予測して
対策を立てると言う事が最も
大事なのだと思います。
また、
お店によっては季節指数が
反映しない店や
環境が大きく変わる店もあります。
そんな時には季節指数はそのままでは
使えませんが
漠然と営業していくのではなく
「売上がこれくらい変化する」
という予測のもと、
アクションを起こして下さい。
例えばTVで取材されたり、
出している商品に流行が来て
爆発的に販売数が伸びたりと、
急な需要が出る場合もあるのです。
「牛ユッケの廃止に伴い一時的に
ユッケ規制前の掛け込み注文が
激増した」
なんて例もあります。
この「一時的な変動要因」は
プラスαとして季節指数に加えます。
季節指数は店長などがお店を
運営するに当たり予算の精度を
高める為にデータを集めて行くという
方法なので
忙しいとか解らないと言って
検証しないのならデータを集めても
意味はありませんし
経費の垂れ流しで運営を続けて
お店の寿命を縮めるだけです。
新装開店でもデータの集め方は
考えれば色々あります。
近隣の3年以上経営を続けている店や
地域や立地、お店の環境や規模が
自分のお店と似ている店を探して
売上予測を立てて
その数値を季節指数に当てはめて
%を計算します。
それを自分のお店の予算作成に利用し
営業を続けながら自分の店の
実際のデータを蓄積して
オープン当初に集めた他のから店の
参考データと入れ替えて行くのです。
ライバル店や似た形態のお店が
より近いデータが取れると思うので
営業モデルで真似したいお店から
リサーチするのが効果的です。
倉持
「それでは全員で実際にこの
季節指数を使ってPL表を作成して
予算を計算してみましょう。」
そう言うと倉持は配布したPL表に
季節指数計算表を加えて
講義参加者に渡しました。
つづく




