第134話:踏み込んで自分が変わっていく | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田が研修で留守の間、部下の前田は
課題の研修を一つこなし、休暇で
友人のハルカとホルモンを食べに
行きました。


第134話:踏み込んで自分が変わっていく

本田承太郎の部下の前田は親友の
ハルカに誘われ炭火ホルモン焼きの
お店にホルモンを食べに行きました。

前田はハルカと食事した次の日、
振り返ってこのお店のメニュー構成を
考えていました。

そうすると「自分の中のある変化」
が浮かんできました。


ホルモンのメニュー数は約30品。

そこからタレのもみ込みや
盛り合わせメニュー、セットなどで
品数が増え40品、

サイドメニューでサラダやつまみ、
キムチなどアテになる料理が並んで
60品になります。

そこから赤身肉や限定品などの
少々「お高い」商品を含めて
80品位になります。

ドリンクメニューも簡単な
カクテル系や酎ハイビールと定番で
揃えて50種類くらいの品添えです。



今まで学んできた事から考えると
メイン商品は売れ筋の
「ホソ(小腸)」や「ハラミ」です。

客席は6席あってカウンターが5席。

総客数を考えると30名くらいで
満席になるキャパでしょうか。

そうなると1日の売上では、
一人のお客さんの単価が3000円位
だったとして考えると

1回満席になったら9万円の売り上げ。

1カ月で270万の売上です。

見た所従業員は4~5人いました。

スタッフの中でバイトも2、3人は
いたと思うので忙しい時間帯だけ
なのでしょうがキッチンに2人いて
接客係は3人くらい入れ替わったと
思います。

「これで利益は出るんだろうか…」

前田はそんな事を考えるように
なっていました。

お店で食事をする時に従業員の動きや
接客態度、接客していない時の
様子などが徐々に目に留まるように
なってきて、

食事に行ったあとお店の利益計算を
予測するようになりました。

これも上司の本田承太郎が普段
食事に行くたびにこういう話をして
話していたからです。

飲食店のメニュー構成やお店の作りは
「利益」が出て初めて意味がある
ものなので

飲食に関わる人間は徐々に普通の
食事や食後にこういった事を
考えるようになると言います。

前田も飲食に関わり始めてようやく
お店の事にについて深く学び始めて
今まで見えていなかった事が
見えるようになってきたのだと
言う事です。

一緒に食事をしたハルカに言わせると
「食事中に仕事の事考えて楽しい?」

と聞かれましたが、
見えてきた物は仕方がありません。

解らない事がクリアになると
人は快感を感じると言います。

前田は飲食店でよく質問をするように
なっていました。

「このお店のオススメは何ですか?」

そう聞いて、
「全部美味しいです!」と答える
スタッフがいると、

「ああ、このお店は教育が行き届いて
いなんだな」
と言う事が
理解できるようになりました。

以前、
メニュー開発の話を聞きに行った
イタリア料理のお店に行った時は
お店の一番の商品をアピールする事を
重視して接客すると聞いていたので
前田はそう思ったのです。

他にも接客の上手いカフェに事例を
聞いた時は、

お客様の要望を「聞き出す」技術を
スタッフが常に勉強して営業に
活かしていると話してくれました。

何気なく自分の好みを聞いてくれる

そして、それに沿った「選択肢」を
「提案」してくれるスタイルです。

他にもメニューにバラツキがあり、
値段構成の開きが大きく、
平均価格の商品が少なかったり、

メニューを見て何がおすすめなのか
よく解らないお店に出くわす事も
意外と多い事に気付いたのです。

こうした自分の変化に気付いた前田は

仕事の事で

「踏み込んで自分が変わっていく」

と言う事にちょっと楽しさを
感じていました。

仕事で働いた分給料は貰えて
残業や事務的な事で追われる毎日で
今までは楽しいと感じる事が
ありませんでした。

行っている作業や業務はこれまでと
特に変わりはありません。

本田承太郎と言う踏み込んで物事を
進めて行く上司に振り回されながら、

その事で自分も
「変わっている」事に気付く事が
出来たと
言う事なのです。

「仕事に楽しさを見つけろ」
以前の上司平嶋係長に言われた事が
あったのですが

当時の前田はネガティブで他人に
そんな事を言われても、
実際の仕事で使える話ではないと
思っていました。

でも今回その考えが変わっている
という事に気付き、

「自分が間違っていた」と
反省するようになりました。

平嶋係長の言葉はちょっと
足りなかったのかもしれませんが
仕事に楽しさを見付けると言う事は
「自分が学んで成長しろ」という事で、

そうする事で仕事に楽しさを感じて
モチベーションが上がる。


と言う事だったと今更ながら
理解できたのです。

そんな事を考えながらも前田は、
本田に与えられた課題をもう一つ
クリアしなければいけませんでした。

つづく