前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
本田が研修で留守の間、部下の前田は
あるお店の成功事例を取材しに来て
店長の峰岸に話を聞いていました。
第129話:中心価格の設定
峰岸店長はメニュー構成での
商品価格設定について話始めました。
商品価格の設定は集客に重要で
「普通この商品はこれくらいの値段」
というように大雑把な設定はしません。
価格設定の考え方として、
値段が手頃かどうかはお客様が決める
という前提があります。
お店の希望する価格に設定しても
商品が売れなければ意味がありません。
お客様が、
「この料理は1000円くらいだろう」
と思った時に
実際は700円ならその商品は
売れて行く事になります。
つまりお店の環境やサービス、
利益などの状況を考えて
「商品の価値を上げる必要」が
出てきます。
飲食店は飽和しているので最近は
価格競争が激しくメニュー作りは
価格から作られて行く事が多いです。
例えば、
新しく牛丼屋を出そうと思ったら
周辺の牛丼屋や丼ものを売っている
お店を調査します。
価格が牛丼1杯380円だとして
自分のお店はいくらに設定するかを
考えて行きます。
当然競合店より10円でも安い方が
売れやすくなりますし話題にも
なりやすいです。
利益が出ないので高単価で商品力を
重視して販売すると直ぐに成果は
出せない可能性があるので
リスクも大きくなります。
・うちのお店はボリュームで勝負
・競合と価格を揃えて味で勝負
・高単価設定で味とサービスを強化
というように勝負所を見極めて
お店の方向性が決まっていれば
価格も決めやすいと思います。
ただし価格設定が可能な範囲で
設定しないとお店の経営が苦しく
なるというのは当然です。
コスト、利益を考えなくては
商売ではありませんので
採算が取れる事は最も大事です。
主力の価格設定、
お店の方向性が決まったら
メニュー全体の中心価格の設定を
行っていきます。
牛丼が380円で特盛りや
セット商品などが800円位なら
380円~800円の間が
そのお店の中心価格になります。
卵50円とか味噌汁100円とかは
中心価格から外れた商品となります。
前田
「中心価格の設定はなぜ必要
なのでしょうか?」
峰岸店長
「食事に行く時に普通財布事情を
考えて予算を計算しませんか?」
「します」
「その時お店の価格帯が解り易いと
行くお店の候補に挙がり易く
なって来るんです。
今までは、
美味しいから、近いから、
サービスが良いからとお客さんが
お店に来る理由作りをしていました。
そこで食事1回の予算と合うことは
それだけチャンスも増える事に
なるんですよ」
「なるほど、予算が解り易いから
食事のイメージがし易いんですね」
安いイメージのお店を作る時は
中心価格は安い商品の価格に揃えて
価格幅を狭くします。
良くある間違いでは
高級店で格段に安い商品が
メニューに沢山並んでいると
中心価格がブレて予算が解りにくく
なってしまうケースがあります。
本当に特別なメニュー以外は
お店の決めた中心価格に設定する事が
お客様により解り易いお店作りに
なっていきます。
経営者としてはこの様に考えて
メニューの価格を考えて行きますが
調理場では「原価」というものが
商品開発のネックになりますので
その点でも考慮しなくてはいけません。
峰岸店長は続いて
原価からメニュー価格を設定する方法を
話して行きました。
つづく
