私の育った家には
いつも
犬がいました
父が犬好きだったこともあり
大きな家に住んでいた時も
アパートの二階の時も
犬が一緒でした
私が小学校低学年の頃は
コッカスパニエルの
サリー
そして
ラブラドールレトリバーの
トム
中学生の頃
ダルメシアンの
パオ
実家を出る頃は
アフガンハウンドの
シェロー
学校から帰ると
いつも
犬が一目散に駆け寄ってきて
というか
飛びついてきて
戯れて遊びながら
今日あったことを
長々と話しました
犬は
誰にも言えないことを話す
私の親友でした
でも
私が子どもだったからなのか
最後に実家にいたシェロー以外は
ある日突然
いなくなりました
いない理由を聞くと
死んだ
と
病気だったのか
事故だったのか
最期とわかっていたら
ちゃんとサヨナラ言いたかったのに
ありがとうも言いたかった
どこか痛かったのかな
ご飯食べなくなっていたのかな
悲しくて
寂しくて
申し訳なくて
独りでベッドの中で泣き続けました
大人になったら絶対に
自分が責任もって犬を飼おう
と決めたのは
この時でした
大人になって
子どもがいて
やっと中古の一軒家に引っ越したとき
犬を飼う環境は整ったと思いました
そして数年が経ち
子ども達が思春期に入った頃
3人がバラバラに行動することが増えてきたのを見ていて
一日一回でいいから
姉弟3人が
コミニュケーションとりつづける方法がないか
と
考えていた時のことです
閃いた!
(そうだ!京都に行こう!的に
いまだ!
姉弟の絆をつなげるために
犬を飼おう!
初告白だけど
これは
姉弟のコミニュケーションを保つための
私の作戦でした
ですから
子ども達が
自主的に「犬が欲しい」と懇願してきて
主体的に「犬を飼う」環境が必要でした
で
考えついたのは
これ
↓
「仕事でお母さんの留守が増えるのよ。
番犬いた方が安心でいいと思うんだけど、
お散歩が大変なのよねー。
私はできないしー(困った)」
こんなこと言ったら
子どもは
「お散歩は3人でするから!犬飼いたい!」
っていうに決まってる
犬飼いたい陳情
くるかな
と思ったら
案の定ww
あの手この手の
陳情ラッシュ
「犬飼いたい!」
キター
♪───O(≧∇≦)O────♪
作戦成功
(`ー´)
ブリーダーを調べ
信頼できるルートで
出産を待ち
やってきた子犬は
顔は白くて
身体の所々に黒の斑点があって
柔らかくて
まるで
つきたての豆餅みたいな
ダルメシアン
名前は
子ども達が「カッコいいから」
といった
アレックス
に決まりました
子ども達は
子犬の世話から始まり
毎日の散歩
躾
体調の管理
我が家の4番めの子どもとして
姉弟3人の中に入り
3人を繋ぐ役割を果たしてくれました
お散歩当番の日は
何があっても帰ってこなければならなかったし
急に都合が悪くなれば
他の兄弟でなんとかしなければならなかった
ケンカしながら
文句言いながらも
犬の面倒は姉弟3人でみるから
というのが犬を飼う時の約束だから
3人で何とかしなければなりません
その日から
15年の間
アレックスは
我が家の4番目として
姉弟3人をつなぐ役割を果たしてくれました
そして
当時
思春期だった
子どもたちが
大人になって
それぞれ巣立ったあと
動きの鈍くなった
アレックスを
病院で診てもらうと
腎臓が悪いことが判明
「年齢的には仕方がないかと」
言われても
何とかならないかといろいろ試してみましたが
じょじょに
お散歩を楽しまなくなり
食事の量も減ってきて
次第に
歩けなくなり
老化には勝てず
いよいよ
入院になりました
病院へは
毎日様子を見に通ったけど
行くたびに
アレックスは
「家に帰りたい」
と
言っているような気がして
1週間経ったころ
アレックスを
家に連れて帰ることにしました
大きなカッコいい赤いお座布団を買って
その上に寝かせて
家族で抱きかかえて
家に帰ってきました
「アレちゃん、おうち帰ろうね」
って
何度も言いながら
ドクターから
「あとは好きなものを食べさせてあげて」
と言われたので
大好きなアイスクリームや生クリームを
作ってあげました
もう食べられなくなっていたけど
舌の先につけてあげると
嬉しそうに舐めて
アレックス
家に帰ってきてから
1週間
家を出た子どもたちは
アレックスを1人にしないように
いつも誰かが一緒に居られるよう
それぞれの予定を工夫して
帰ってきました
そして
毎晩
誰かが
アレックスの隣で夜を過ごしました
仔犬のアレックスの
お散歩当番を決めたときと
同じように
姉弟で相談して
予定を決めていました
アレックスは
最期まで
アレックスの役割を果たしてくれました
お散歩当番の3人に再会し
家族に見守られながら
アレックスは
自宅の
カッコいい赤い布団の上で息を引き取りました
その日は
3月9日
アレックスが
サンキュー!
って言っているようだね
と
止まらない涙を拭いながら
まだ温かな身体をさすっていました
ありがとね
アレックス
翌日荼毘にふし
皆で
お線香をあげました
東日本大震災の2日前のことでした
今度会うときは
もっと話がしたい
アレックスと
秘密の作戦の話
したいな
犬や猫と話ができたら
どんなに心救われることでしょう
サンキュー
アレックス
私の友人が
本を書いてくれました
以上!

