田園調布のスーパーマーケットでのこと
夏バテ気味の老猫用に
鶏の胸肉を1パックと
ラップをひとつカゴに入れ
並んでいる人の少ないレジを選んだ
目の前のご婦人
年のころは80代だろうか
鮮やかな茶色のウィッグが
ベレー帽のように
白髪の頭上にポンと乗せられており
たっぷりとある真っ白な地毛とのコントラストが
とてもオシャレ
なのかな?
そのご婦人のレジカゴ品に入っていたのは
刺身の盛り合わせの小さなパックと
マンゴーが一個と
シャインマスカットがひとつ包み
――今夜はお刺身とフルーツの盛り合わせか
ーーお上品♪
レジ係が
最後のシャインマスカットのバーコードを
機械に読み取らせ
合計金額を伝えた
「合計○○○円になります」
その時
そのご婦人がレジ係の女性に
小さな声で何か言った
レジ係
「お客様、何か」
ご婦人
「・・・いちご飴」
レジ係
「は、はい、」
ご婦人
「あるかしら」
レジ係
「はい、い、いちご飴、でございますね」
ご婦人
「そ、いちご飴」
レジ係
「ど、どちらの、いちご飴でしょう」
ご夫人
「・・・」
レジ係
「サ、サクマ、でしょうか」(必死で思いついた風
ご夫人
「ちょっと、違うわねぇ」
レジ係の女性は
周辺で待機している係員を手で呼びよせると
突然の命令を待ってました!といわんばかりの
侍女のような女性が
足音もなくスッと現われ
ご夫人の斜め前に立った
立ち姿は
両手を前に組み
口角を横に引き
「信頼の笑顔」を保っている
――完璧だ
しかも
姿勢は
「傾聴」の前傾5度
――議員秘書のお手本になるわ、この美しい前傾5度
私は感心して見入っていた
レジ係
「お客様、いちご飴は、どのようないちご飴でしょう」
侍女
ご婦人に傾聴の姿勢を保ったまま
無言でわずかに頷く
ご婦人
「ピンクで、、甘くて、美味しいの」
ーーえ?それだけ?
レジ係
「ピ、ピンクで、あ、甘くて、美味しいのでございますね」
ーーちょっ!それだけじゃわかんないでしょ!
このレジ係のセリフか言い終わると同時に
侍女は瞬時にどこかへ走って消えた
逃げたのではないのは明らかだ
前傾5度、傾聴の姿勢のまま走り出したのを
私は見逃さなかった
レジ係がその間をつなぐ
レジ係
「熱中症用の塩飴とかではないのでございますね」
ご婦人
「いちご飴、なの」
ご婦人は
大きく頷き
頭頂のオシャレウィッグが
ゆらりと前に下がる
私はお会計に時間がかかっていることなど
もうどうでもよかった
いちご飴は見つかるのか
侍女が気がかりだった
と
その時
侍女が足音も立てず
でももの凄い勢いで戻ってきた
わずかに緊張を隠しきれないものの
目は真剣で
しかし
口角は上がっている
侍女
「お客様、こちらでしょうか」
手に持っているのは
いちご飴か
侍女は
その袋を差し出した
袋の面を覗き見ると
「いちご飴」
と書かれていた
ーーいちご飴には違いない!
ご婦人は、
差し出された袋を手に取り
表を見て
裏返し
もう一度表をみて
「あら、、、これ、これだわ♪」
――やったぁ~~~!いちご飴だ〜〜!!
――よく見つけたね!侍女!!プロだわ!
――レジ係、よくあの恐怖の「間」をつないだ!!
ーー偉い!!(泣(謎
信頼の笑顔を一時も崩さず
手を振るだけで侍女を呼び寄せたレジ係
そして
異常なほど少ない情報で
そのご婦人が好むであろう飴を
数多あるキャンディーコーナーから
勘を頼りに
しかも1品だけを手に取って駆け戻り
「こちらでしょうか」と
言葉を発したのはこれが最初で最後。
しかも
当たり!!!
「いちご飴」
「ピンク」
「甘くて美味しい」
たったこれだけの情報で
「『いちご飴』はたいていピンクだし!」
「飴はどれも甘いし!」
「美味しいかどうかは食べなきゃわかんないだろ!」
とツッコミを入れたくなるのも
ツッコミ入れてたけどww
こらえた
お客様の探している商品を見つけ出した
レジ係と侍女に
私は心からの称賛を送った
「甘くて、美味しいの」の直後に
後ろを向いて
ブハッと噴き出したし
バレないようにしてたけど
笑っていたのは
告白しておきますが
( *´艸`)
田園調布ならでは
高級スーパーマーケットでの
ミニコント
出来事でした!
今朝出社したら
今日はお盆休みだった
あはは^^;
お仕事の人も
お休みの人も
良い一日を♪
今日は
以上!
••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••♪
鈴鹿塾 in仙台 開催決定!
東京からのご参加も多いようです
嬉しい〜!
残席僅かだそうです
日程など
↑主催はあの魔法学校校長♪
飛び級
ステージアップ
壁ヌケはできません
「闇」を一掃して
憧れの自分に
会いに行きましょう!
