こんにちは。
ブランディング戦略家の鈴鹿久美子です。
私の毎日の仕事の中に、
政治家の演説原稿の作成があります。
「政治家本人が作るんじゃないの?」
と思われる方もおられるかもしれませんが、
欧米では
政治家の見せたい姿を作るのと同様に
その政策はチームで検討して作り上げ、
「演説」は政策の表現方法のひとつとして位置づけられています。
日本ではまだこのようなプロフェッショナルチームは存在しておらず、
せいぜい選挙のたびに政党が広告会社にポスターやコマーシャルを依頼する程度。
まだまだ日本は後進国なのです。
さて、
私が演説原稿を書くときのポイントは?というと
これです。
私は
一見何の関係もなさそうな
面倒なことをいくつかやります。
その一つに、
まず、私は政治家が演説するその選挙区に必ず入ります。
移動時間から考えても非常にロスが多く見えますが、
選挙区に入らずにその土地の政策は考えられません。
その土地に入って、
最低でも1日は歩き回ります。
ランチタイムの繁華街、
夕刻のスーパーマーケットや商店街、
送迎時間帯の保育園、
市役所前の「朝市」を眺めたり、
工事現場で休憩中のおじさんや
無人駅で電車を待っている中学生と立ち話をしたりします。
それから、
その政治家本人と
実現したい政策について、
何時間も時には
何日もかけて考えを聞き、
その政策を「演説」の形に作り上げてゆきます。
政策秘書時代からやっていることではありますが、
今は、クライアントごとに、
選挙区も、政治信条も異なるところが決定的な違いです。
こうして、
その「政治家の選挙区」で、
腰を据えて
人の顔を見て
話をすることが
なにはなくとも演説原稿の絶対必要条件。
こうして生まれた演説は
その後のパフォーマンスのトレーニングを経て
有権者の前に登場します。
初登壇のとき
私は大抵、
その会場の一番奥の隅に立って
トレーニングを重ねた初演説を見届けます。
政治家は
「良い人」であればあるほど
控えめで、
いわゆる
「自己顕示欲」が低めであることが多く、
パフォーマンス指導では苦心することがあります。
「控えめに」言ったって伝わらないのが世の常ですから、
その「良い人」部分を堅持したまま、
どうやってその人を
どの角度から見ても
「信頼できるリーダー」に見せ、
圧倒的に印象に残るその人だけの演説とすることができるのか。
「エネルギー保存の法則」のままに
費やしたエネルギーと思いの分だけ
熱量は有権者に伝播します。
演説に聞き入る聴衆の頷く顔、
通り過ぎようとした人が足を止めて振り返る瞬間、
鳴りやまない拍手、
ちょっとウルっとなることも。
さぁー、
今日も仕上げなければならない演説原稿があります。
有権者の心にスポッと届く
分かり易く
磨き込んだ言葉を届けることができるよう、
政治家と話した「政策提案メモ」を横に。
※写真は、数年前の選挙の際に鈴鹿個人が撮影したもので、
演説指導とは何ら関係はありません。
□鈴鹿久美子著書
「会う人すべてがあなたのファンになる 一流の魅せ方」



