こんにちは。

ブランディング戦略家の鈴鹿久美子です。

 

 

昨夜遅く、東京に戻る新幹線で見かけた女性のことです。

 

 

 

新幹線は、遅い時間帯だったこともあり、

空いていて、静かでした。

 

 

こんなに原稿書きに適した環境はない!

ここで原稿の束をやっつけてしまおうと思い

眠り薬になりそうなお弁当を頂くのは止めて

PCを開けました。

 

 

さぁー!やっつけるぞ!とキーボードに指をのせた瞬間、

 

 

 

シュポッ!

 

 

 

3列前の席のカップルが

缶ビールを開け

乾杯していました。

 

 

女性は、買い込んできたお弁当を開けて

揚げ物が美味しそうだとか

「あなたのご飯少なくない?」と楽し気です。

 

 

あーら、楽しそう。

私もこれが終わったら、と心新たに原稿に取り掛かりました。

 

 

 

男性は窓際の席で

私からは見えなかったのですが

話し声は女性の声しか聞こえません。

男性は無言で頷いているだけだったのか、

聞こえるのは

女性が間断なく話し続ける声と

時折

「シュポッ!」という

缶ビールをあける音。

 

 

 

それでも

締め切りに切羽詰まっている私の集中力は衰えません。

1時間ほどで演説原稿1本書き上げ

 

 

よし!

 

 

 

PCからふと目を上げたとき

 

「シュポッ!」

 

女性がまた缶を開けています。

 

次は缶チューハイでした。

 

 

 

女性の肩越しに、

テーブルに放置されている空のお弁当の入れ物と

床にはお弁当を結んでいたであろう紐とビニール袋が落ちていました。

 

 

女性はそんなことは全く気にせず

隣の男性に向かって

話続けています。

 

 

床にだらしなく伸びた紐を見て

 

なんだか汚らしくて

嫌だなー

 

と思いながら

次の原稿に取り掛かろうとしたとき

 

ひときわハッキリと女性の声が聞こえました。

 

 

 

「あなた、それ食べないの?

あーら、

良かったわねー、

私が居て!」

 

 

と、

隣の男性のお弁当を取りあげ

早々に口に放り込みながら

 

 

 

残飯係って必要でしょう?!(もぐもぐ)

私がいて良かったでしょう?!(ごっくん)

ねぇ(もぐもぐ)」

 

 

――残飯係?

ザンパン係

 

ゴミ?

ゴミを食べる係?

 

 

確かに

言われてみれば

背もたれからはみ出た豊満な二の腕、

取り散らかったヘアスタイルに、

食べ散らかしたテーブルの上、

床に落としたままのビニール袋と紐、

 

 

その女性を取り巻く全てが

彼女を不潔でだらしなく演出し

そのセリフまでもが

「残飯係」

 

 

隣の男性の食べ残しをつまむ言い訳に

自嘲気味に言った言葉であろう

 

 

「残飯係」

 

というセリフまでもが

彼女を汚しています。

 

 

 

「食欲に身を任せるだらしない女」の演出としては

最強。

 

 

加えて

助演男優賞は

隣の無言の男性。

 

 

ついに缶チューハイに手を付けた女性に

かける言葉を

食欲と共に失う「夫」。

 

 

出かけるとき、

身支度に一度は鏡を見ているはずですが、

出かけてしまうとどうしてこうも無関心になり

残念な姿になるのでしょう。

 

 

自分は

自分本体だけで見られているわけではありません。

 

 

自分を取り巻くもの

その場の環境全てが

自分を演出する要素です。

 

 

私は演説原稿を書きながら

反面教師の後ろ姿を眺め

丸くなった背筋を伸ばしました。

 

 

何気なく置いた鞄は、きちんと立ててあるだろうか。

バックの中のハンカチがクシャクシャに丸まっていないだろうか。

手元からすべり落ちたコンビニの領収書を、

見てみないふりで通り過ぎようとしていないだろうか。

 

 

自戒を込め

他人のふり見てわがふり直せで。

 

気をつけよー―っと。

 

 

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鈴鹿久美子著書
「会う人すべてがあなたのファンになる 一流の魅せ方」