アーノルド・キアリ症候群I型は、患者さんの生活の質に大きな影響を与える可能性があります。無症状のまま経過する場合もありますが、多くの患者さんで何らかの症状が現れます。特に、特定のリスク要因を十分に認識し、適切にコントロールしない場合、症状が悪化することがあります。

 

ここでは、アーノルド・キアリ症候群I型の症状を悪化させる可能性のある要因と、治療の前後に実践できる予防策について解説します。


アーノルド・キアリ症候群I型とは

アーノルド・キアリ症候群I型は、小脳扁桃が大後頭孔を通って脊柱管に下垂するのが特徴です。

患者さんの中には、終糸の異常な緊張状態によって起こる脊髄の異常牽引となって生じることがあり、これが「終糸病」と呼ばれています。


よくある症状

症状の強さや現れ方には個人差がありますが、一般的には以下のようなものがみられます。

  • 頭痛(片頭痛を含む)
  • 首や背中の痛み
  • めまい
  • 平衡感覚の異常
  • 視覚や聴覚の異常
  • しびれや感覚消失
  • 疲労や不眠
  • 認知機能や記憶力の低下

症状の現れ方は患者さんによって異なるため、専門医による適切な評価と診断が重要です。


症状を悪化させる要因

症状マネジメントにおいて重要なのは、どのような状況で症状が悪化するかを把握することです。主な要因として、以下が挙げられます。

  • 激しい身体活動:重い物を持つ、急な動作、長時間の運動
  • 精神的負荷:集中力を要する作業や長時間の知的活動
  • ストレス:心理的負担や強いストレス状態
  • 外傷:頭部や首への打撲(交通事故やアトラクションによる軽い衝撃も含む)
  • 不適切な治療:頸椎牽引など、患者さんによっては禁忌となる治療
  • 衝撃を与えるスポーツ:サッカー、パデル、ランニング、クロスフィット、ウェイトリフティングなど

 


症状の悪化を防ぐ方法

日常生活での工夫は、症状の進行を抑え、生活の質を維持するうえで非常に重要です。主なポイントは以下のとおりです。

  • 過度な身体活動や長時間の知的作業を避ける。
  • ストレスを適切に管理、軽減する。
  • 衝撃を伴うスポーツを控える。
  • 運動療法を開始する際は、必ず専門医に相談する。
  • バランスの取れた生活習慣を維持する。

 


治療前後のポイント

治療を開始する前には、症状を悪化させる要因を可能な限り避けることが重要です。

終糸システム®による治療後、多くの患者さんで症状の改善が認められますが、以下の点に注意が必要です。

  • 症状が一時的に変動し、再発することがある。
  • 再発した場合でも、多くは軽度で一過性。
  • 適切な対応や治療により、再び改善が期待できる。

治療後も、再発時に適切な対応を行うことで、病状の安定やさらなる改善につながることが多くあります。


患者さんの体験談

他の患者さんの体験談を読むことで、疾患や治療の選択肢について、より深く理解することができます。

患者さんの体験談をご覧になりたい方は、こちらをご参照ください。

https://institutchiaribcn.com/jp/アーノルドキアリ奇形患者の終糸切断手術の体験/


専門家に相談すべき場合

以下のような状況がある場合は、専門家への相談が推奨されます。

  • 症状が新たに現れた場合
  • 症状が悪化した場合
  • 過去に診断を受けたものの、その後の経過観察を行っていない場合

正確な診断と個々の状態に応じた治療は、症状の進行を抑え、生活の質を大きく改善する可能性があります。

みなさん、こんにちは。

 

本日ご紹介するのは、2024年に終糸切断手術を受けたニコレッタ・ベルケイ(Nikoletta Velkei)さんの術前・術後の回復の様子をまとめた最新動画です。術前は車椅子での生活を余儀なくされていたニコレッタさんですが、術後数時間後、補助なしで最初の一歩を踏み出すことができました。

 

当研究所のホームページからご覧になる場合はこちらから。

-----------------------------------------

 

ニコレッタ・ベルケイ(Nikoletta Velkei): 小脳扁桃の嵌入、脊髄空洞症、低位脊髄円錐、尾骨の前方脱臼、神経頭蓋脊柱症候群、終糸病

 

手術日: 2024829

術後一年検診日: 2025929

 

ニコレッタさんは、2024年に終糸システム®に従って低侵襲治療の終糸切断手術を受けられた後、2025年9月に術後一年検診のため再来院されました。

 

手術前、ニコレッタさんは日常生活に大きな支障をきたす多くの症状に悩まされていました。激しい頭痛、吐き気や嘔吐、光や音への過敏、聴覚の異常、話しにくさや集中力の低下、不眠、首と背中と腰の痛み、そして手足の著しい筋力低下などです。症状は徐々に進行し、最初は歩行に補助が必要となり、やがて車椅子での生活を余儀なくされるようになりました。

 

しかし手術からわずか数時間後、ニコレッタさんは補助なしで最初の一歩を踏み出すことができました。そして1年後の診察では、完全に自力で自然に歩いている姿を見ることができました。

 

当研究所では、ニコレッタさんの回復の歩みを見守り、この大切なプロセスに寄り添えたことをとても嬉しく思っています。これからも、これまでと同じ強さと希望を胸に、前へ進み続けていかれることを心より願っています。

 

E-mail: faberlic.jaszsag@gmail.com

 

-----------------------------------------

みなさん、こんにちは。本日ご紹介するのは、先日撮影された当研究所の紹介動画です。日本語字幕をつけて、ご覧ください。

 

”当研究所は、スペイン・バルセロナに拠点を置き、アーノルド・キアリI型症候群特発性脊髄空洞症特発性脊柱側弯症線維筋痛症など、世界中で多くの方々に影響を与えている疾患の専門的治療を行う医療機関です。

 

当研究所では、上記疾患および終糸病に関連する疾患に対して、症状の緩和だけでなく病気の原因そのものに対する治療を重視しています。診断から治療、術後の経過観察まで一貫した医療を提供しており、国際色豊かな専門スタッフが16言語で対応し、患者さんとご家族に寄り添いながら、治療の全過程を丁寧にサポートしています。

 

世界各国から、当研究所独自の治療計画による外科的治療を求めて多くの患者さんが来院されています。40年以上にわたる臨床経験と、国際学術誌に掲載された研究実績、さらに患者満足度94.8%という高い評価を背景に、原因治療の分野で世界最先端の技術を提供しています。”

 

終糸病は先天性の疾患であり、その発症時期や進行の仕方は患者さんによって大きく異なります。ヒトの胚発生の段階から中枢神経系や脊柱の発達に影響を及ぼし、生涯を通じて徐々に症状が進行していく場合があります。

 

診断

当研究所の症例から観察される終糸病によって引き起こされる病態は、以下の通りです。

 

・アーノルド・キアリI 型症候群(小脳扁桃下垂):本疾患では、小脳扁桃の下垂が早期から進行することがあり、生後数か月の段階ですでに認められる場合があります。乳児に何らかの理由で MRI 検査を実施した際、偶発的に確認されることもあります。

 

・特発性脊髄空洞症:脊髄空洞症は脊髄組織を徐々に損傷し、臨床症状と病変の大きさが必ずしも一致しない多様な影響を及ぼします。広範囲にわたる空洞を有していても症状が軽度な場合がある一方、わずか一椎体程度の小さな嚢胞でも、日常生活に支障をきたす複雑な症状を引き起こす場合があります。発見は、症状の出現を契機とするか、あるいは MRI 検査で偶然見つかる形が一般的です。

 

・特発性脊柱側弯症:脊柱側弯症は脊柱が側方に弯曲する病態で、後弯や過前弯、さらに横断面での回旋を伴う回旋側弯など、多面的な変形を呈し得ます。幼少期から思春期にかけて徐々に進行することがあり、特に思春期のホルモン変化により悪化しやすい傾向があります。成長期の身体活動に伴う痛み、姿勢異常などから、小児科医が定期検診や受診の際に発見することがあります。

 

終糸病には遺伝的要素が関与する可能性があることから、患者さんのご家族、特に直系血族に対しては、小児科医と相談のうえ、終糸病の有無を確認するための精密検査を検討することが推奨されます。

 

治療法

終糸は、キアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症などにおいて、中枢神経系全体へ過度な牽引力を伝える組織であり、患者さんにさまざまな可逆的・不可逆的損傷を引き起こすことがあります。

 

終糸システム®による治療の主な目的は、病名を正確に診断するとともに、外科的介入によって病態の進行を阻止し、その後の薬物療法や理学療法により可逆的な損傷の回復を促すことにあります。

 

このため、キアリ奇形、脊髄空洞症、脊柱側弯症のいずれかが確定診断された時点で、特に若年患者においては、乳幼児期からでも終糸システム®の早期適用が推奨されます。これは、成長期の患者さんの精神運動機能の制限や症状悪化を防ぎ、成長過程への影響を最小限に抑えることを目的としたものです。当研究所では、ロヨ医師率いる脳神経外科チームにより終糸切断手術を受けた 2425 名の患者のうち、0~10 歳が 4%、10~16 歳が 5% を占めており、最も若い症例では生後 4 か月で手術が実施されています。

 

通常、乳幼児患者に対しては、安全性を最優先し全身麻酔で手術が行われます。手術は低侵襲技術を用いて尾骨部に数センチの切開を行うもので、感染や血腫などのリスクは最小限に抑えられます。16 歳以上は成人として扱われ、禁忌がなければ局所麻酔に鎮静を併用した方法が選択されますが、最終的な麻酔方法は麻酔科医の基準やプロトコルに従って決定されます。

 

多くの患者さんは手術後 24 時間の入院を経て退院しますが、おむつを使用している患者さんの場合、創部の汚染を避けるため特別な管理が必要となり、入院期間が延長されることがあります。

 

乳幼児患者の保護者は、入院手続きから麻酔導入室、術後回復室まで、入院中のすべてのプロセスに付き添うことができます。同伴者 1 名は患者さんと同じ病室に宿泊でき、日中は複数の家族が同時に面会することも可能です。

 

成果

終糸システム®を未成年患者に適用した治療は 30 年以上に及び、その成果は統計的に他の年齢層と同等であり、終糸病の進行を抑制できていることが確認されています。終糸切断手術の実施により、多くの症例で症状の軽減、改善、あるいは消失が認められ、成長期の段階からの自立した生活や生活の質(QOL)の向上につながっています。

 

さらに術後には、身長・体重の成長曲線、認知機能、精神運動機能、場合によっては行動面など、年齢に応じた発達の回復が認められることがあります。

 

小児および若年患者さんのご家族による体験談は、以下のリンクからご覧いただけます。

 

また、以下のリンクから、当研究所で治療を受けたアーノルド・キアリI型症候群のお子さんを持つ保護者の方へのインタビュー動画をご覧いただけます。

 

-----------------------------------------------------

当研究所のホームページからご覧になる場合は、こちらから。

症例番号: 14236

診断名:小脳扁桃下垂(アーノルド・キアリ奇形)、特発性脊柱側弯症、終糸病、神経頭蓋脊柱症候群

 

終糸切断手術日: 2021年6

 

ドイツ出身の児童患者(ご両親の希望により匿名)は、6歳時に当研究所にて終糸システム®を用いた終糸切断手術を受けました。

 

手術前、患者は頭痛、吐き気、視覚異常、めまい、言語表現力および集中力の低下、睡眠障害、不安発作、易刺激性、神経過敏、嚥下障害、頸部のこわばり、四肢の感覚異常、背部・腰部痛、下肢痛、30分以上の歩行困難、慢性便秘など、広範な神経症状および身体症状を呈していました。

 

手術後、これらすべての症状が速やかに消失したとご両親より報告を受けています。また、学校関係者およびカウンセラーからも、明らかな改善が確認されています。具体的には、頸部支持力の回復、姿勢の改善、体力・活力の向上、そして集中力の顕著な改善が認められました。術後の回復により、患者はまもなく特別支援学校から通常の小学校へ転校しました。現在10歳となり、学業成績はクラス内で最優秀を維持しており、ドイツの上級中等教育機関(ギムナジウム)への進学準備を進めています。

 

術後4年に実施したMRI検査では、治療目的である小脳扁桃下垂の進行抑止が確認されました(図1)。また、全脊柱X線検査においても、術前に認められた側弯が矯正され、脊椎の異常弯曲が消失していることが確認されました(図2)。

 

図1 症例14236の術後所見:2021年の手術前MRI画像と2025年の術後MRI画像の比較。術後、小脳扁桃下垂の進行が認められません。

 

図2 症例14236の術後所見:2021年の手術前全脊柱X線像と2025年の術後像の比較。終糸システム®を適用した終糸切断手術後、脊柱側弯が矯正され、整直化が確認されます。

 

終糸システム®を適用した終糸切断手術は、アーノルド・キアリI型症候群および特発性側弯症の進行を抑制し、臨床症状の改善と生活の質の向上をもたらすことができます。

 

ーーーーーーーーーーーーー

当研究所のホームページからご覧になる場合はこちらから。