リハビリ系新加算に見る現場の未来
再び、介護報酬改定について考えてみます。今回は、少し長い目で見た介護保険の行方を絡ませてみましょう。事業所の中には、すでに3年後の再改定をにらみ(居宅介護支援としては、平成30年度の指定権限の移行も視野に入れなければなりません)、思い切った業務改革をスタンバイさせている所もあるようです。その際に「なすべきこと」のヒントを、今回の報酬改定から探し出してみましょう。
アフターフォローまで評価対象となる加算
一連の報酬改定の中には、今まであまり見られなかった「考え方」が刻まれている部分があります。それが、訪問・通所のリハビリ系サービスにおける加算です。注目したいのは、通所リハビリで新設された「生活行為向上リハビリ実施加算」と、両サービスで設けられた「社会参加支援加算」です。
どこがポイントなのか。前者でいえば、「通所リハビリサービスの提供を終了する前に、どこまで目標が達成できたかを会議で報告すること」、そして「目標で定めた実施期間を超えてリハビリを行なった場合は、一定期間減算されていく」ということです。つまり、リハビリを「卒業する」という目標が達成できなければ、事業所の報酬に対してペナルティが課せられるというしくみです。
後者は、リハビリを「卒業した」人が、その後の社会参加(通所介護などへの移行も含む)にどれだけつながっているか。また、きちんとつながっていることをチェックしているかどうかが算定要件となっています。ここでは、すでにサービスが終了した後の「アフターフォロー」も評価の対象となるわけです。
何をしたかではなく、結果を求めるしくみ
サービスを目標通りに「卒業」(終了)できるか、そして、その後の「社会参加」が果たされているか。これは、事業所内でどんなリハビリを行なっているかではなく、その結果を評価するしくみです。予防通所などでは「事業所評価加算」がありますが、ここまではっきりと「送り出し」を評価した報酬体系は、これまで見られませんでした。
この評価の流れは、介護給付費分科会と並行して行われた「高齢者の地域におけるリハビリの新しいあり方検討会」の取りまとめを受けて新設されたものです。それだけ厚労省が力を入れた部分といえます。今回はあくまで試行段階かも知れませんが、実績次第では、次の報酬改定で現場にインセンティブをもたらす手法として、広がる可能性があります。
なぜリハビリ系サービスにとどまらない広がりが予想されるのか。それは、たとえば「社会参加支援加算」の要件として、居宅のケアマネから「送り出し後のケアプラン」を取り寄せたり、「送り出し後のサービス担当者」と連携することが示されているからです。すでにリハビリとしてはかかわっていないにもかかわらず、その後の利用者の状況について多職種連携を図ることを求めているわけです。
今回のリハビリ評価が他サービスにも波及!?
リハビリから他の社会資源へバトンタッチした後の状況も問われてくるとなれば、いずれは「他のサービス資源が重度化防止に効果を上げているか」が問われる可能性があります。たとえば、「卒業」後に再び生活機能が悪化すれば、今度は「リハビリサービスの入っていないケアプランの重度化防止効果」をどうやって評価するかが、介護報酬の議論で問われてくることも考えられます。
利用者は高齢なのだから、状態が悪化することは自然に起こり得る。そこにペナルティなどを含めた評価を課せるはずがない──と思われるかもしれません。しかし、社会保障財政のあり方に厳しい目を向ける財務省などとしては、今回のリハビリにかかる評価手法に着目しているはずです。単なる杞憂で終わる話ではないと考えることも必要です。
ケアマネとしても、今まで以上にリハビリ系サービスの状況に目を配り(いずれにしても、リハビリカンファレンスへの参加も求められるケースが増えてきます)、そこで何が起こるのかをしっかり把握したいものです。
いつもありがとうございます。
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熊谷翼