大くらです。

小さな赤ちゃんをみました。
小さな手をわきわきと動かしていました。その動きに、
小さいいのちの力強さが宿っているように感じました。

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石川啄木の詩に、
「はたらけど / はたらけど猶わが生活楽にならざり / ぢっと手を見る」
というのがあります。
初めて知ったのは確か小学校の時。
マンガの中で、貧しい登場人物が言ってるのを読んで知りました。

人は、
辛さに打ちひしがれて、くたびれた手を見るんやろな、
と思いました。思ってました。

ただ、大人になり、「手のひらを太陽に」という曲に”出会って”、
「あ、それだけじゃないかも」、と思ったんです。

この曲はアンパンマンの作者のやなせたかしさんの作詞です。
やなせさんが、仕事がなくて苦しい生活をしていた時代、
かじかんだ手を、辛い気持ちいっぱいで、
書斎の電気スタンドにかざして暖をとっていた時に、
この詞を思いつかれたそうです。

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「手」は、鏡でも見ない限り、自分の体の中で、間違いなく一番多く目にしています。
だから手は自分の象徴に感じるんだと思います。
僕らが「ぢっと手を見る」時、何を思うかは当然人それぞれですが、
きっと自分のいのちを、共通して感じるのではないでしょうか。

啄木の人生考えると、啄木自身は、どれだけの希望を手に見出していたかはわかりませんが、少なくとも僕はこの詩に希望も見れるようになりました。


手のひらを太陽には、もちろん知ってたし、子供の時には歌ってました。
でもその背景を知った時に、新しい曲に”出会”った気がしました。


皆さんも、
「手のひらを太陽に」を聴きながら、「ぢっと手を見」てみてはいかがでしょう。
子供のときとは違った味わいに聴こえてくると思います。


手のひらを太陽に/INSPi