養育費のさかのぼり請求は | 南大阪・松原市で働く行政書士のブログ

養育費のさかのぼり請求は

昨日書きました養育費に関しての話ですが、例えどんな小さな約束であれ書面
にしておかなければ、いざと言うときに物事がややこしくなります。






フリーター時代の話。


養育費の約束を口約束でしてしまい、いきなり最初から不払いになった人の話
の続きです。

ちなみにこの方は女性。


直接本人から相談があった訳でななく、間に人を挟んでの相談でした。

約束はしたというものの、養育費っていくら貰えるの?といった質問が含まれ
ていた事から考えて、金額、期間、ほとんど何も決めていない様子です。




この話を自分が聞いたのは、その人が離婚してそこそこの期間が経ってからでした。
当時自分は行政書士試験に受かったのか落ちたのかもまだわからない、すごく中途半端な状態。

その為当然のように実務知識なんてものはなく、どうしたら良い?と聞かれても即座に回答できませんでした。
ということでバイトが終わり、帰ってから早速調査。


まずは子供が一人の場合、養育費はいくら貰うのが相場なのか?
これは東京の裁判所のホームページ で算定表を発見。

養育費の金額は、もちろん当人同士の話合いで決めれますが、話し合いがつかな
い場合、もしくは大体の相場は?となればこの算定表が使われます。

お互いの年収にもよりますが、おおまかに子供一人だと月3~5万円ほど。


さてここでひとつ問題です。

この方の場合、離婚してからそこそこ時間が経っています。

現時点から遡って、離婚届を提出してから今までの間の養育費を請求出来るのでしょうか?
もちろん請求するからには、その時点から先の養育費に関しては相手に支払いの義務は発生します。

養育費は親子関係に基づいて当然に存在するものだからです。

では過去の分は?

実はこれは難しい問題です。

離婚時に取り決めをして、それを文書で残しておけば当然請求は出来ます。

債権が明確に存在しているからです。


しかし、きちっと取り決めをしていなかった場合はどうなんでしょうか。

その当時調べたかぎり、請求出来るとも請求出来ないともはっきりしませんでした。

実際、家庭裁判所の例では、過去に遡って請求が認められたケースと、認められなかったケースがあります。


遡って認められたケース(元妻が親権者)は、元夫のほうに経済力があり、元妻の状況から判断すると子供に以前から扶養が必要な環境であった場合です。


逆に、遡っての請求が認められなかったケースは、その期間養育費がなくても生活していけた訳だから、その期間の養育費は今さら必要ないという判断でした。


取り決めを交わさず離婚届を提出した場合、後から請求となるとこのようにややこしい問題が生じます。


やはり離婚の際は取り決めを書面で残すということが重要ですね。





さて、相談してきた方のその後ですが、結局養育費の請求はしなかったようです。

相手方(元夫)に資力が全然ないことや、その他いろんな事情が絡んでの結果でした。


自分もそのころは知識が全然なく、ほぼ何もできないような状態でしたが、

今ならもう少し違う結果にもっていけたように思います。