ちょっとした判例、最高裁より、続き
というわけで、続きです。
この判決により、過払い金返還の上乗せ金利は6%で請求されていたのですが、5%になりました。
さて、記事には載っていませんが、それ以外にも請求していた事があります。
少し事件の内容について説明しておきます。
上の記事にも載っている通りなのですが、この訴訟は鳥取県米子市の鳥取県米子市の金融業者から1993年と98年の2回にわたり、計400万円を年利40%で借りた同市内の男性が提訴した事により始まっています。
一度借りて、その五年後にまた借り入れをしている訳です。
今回、一回目の借り入れにおいて発生した過払い金を、二回目の借り入れに充当して計算するように請求していました。
その部分は棄却されました。
これは結構画期的な判決のような気がします。
同じ当事者同士で2つ借り入れが続いた場合、それは別個のものであると考える余地を認められたからです。
過去、消費者金融勤めの時代、これと似た状況に何度かなった事があります。
その一例を紹介します。
ある顧客が居ました。
この方は5,6年前に一度うちの会社で借り入れをしていた事があります。
それを一度完済して、それから何年も経ってから、再び借り入れにきました。
おそらく以前完済した時に契約書も返したのでしょう、店には台帳すら保管されていません。
それに再借り入れの場合、期間がかなり空いていると、相当色んな本人の状況も変わっているので、審査も始めからする事になります。
そしてLE照会をしたり、様々確認をした末に貸付を実行し、新たに契約書も発行しました。
さて、それからかなりの期間が経過した後、この顧客が司法書士に頼み、過払い返還請求をしてきました。
その時点で、利息制限法に引き直しても大して元金は減っていません。
当然のことながら、過払いにもなっていません。
そこで相手の司法書士が言ってきたのは、前回の取引と併せて計算すると過払いになっているので、以前の契約書や取引履歴を出して欲しいという事でした。
確かに併せて計算すれば、過払いになっているでしょう。
なにせ昔の出資法なんで、年率40.004%が上限だったので。
しかしその請求は、とてつもなく納得出来ませんでした。
なんせ違う契約な訳ですから。
しかも、前の契約はもうすでに終わっていて、何年も経っているのです。
隠しているのではなく、現実に営業店には取引履歴すら残っていません。
それを伝えるのですが、法律事務所の人って、頭っから金融業者の言う事を聞かない人がいますね。
自分の経験から言うと、弁護士や司法書士よりも、事務員にそんな人が多かったように思います。
相手が金融会社だと、やたらとはじめからケンカ腰な口調だったりする人いました。
そう来られれば、こちらも人間なので、ちょっと態度も硬くなります。
話がまとまらないですよね。
ちょっと話がずれました。
結局この件はその後自分の手を離れたので、結末はどうなったかわかりません。
連続して、完済せずに入金や引き出しを繰り返しているのなら、取引はつながっていると言ってもいいですが、一度完済しているなら、例え当事者が同じだとしても全く別の契約だと考えて良いはずです。
今回の判例はどっちかというと、その意見に近いと思います。