ちょっとした判例、最高裁より | 南大阪・松原市で働く行政書士のブログ

ちょっとした判例、最高裁より

利息過払い金返還訴訟、上乗せ金利5%・最高裁初判断


ちょっと前になりますけれど、このような判断が最高裁において下されました。




簡単に説明しておきます。


今、消費者金融や一部のカード会社などでは、出資法に基づく上限29.2%以内の利息で貸付がなされています。


これとは別に利息制限法という法律があり、こちらでは10万円以上100万円未満の貸付は年率18%までしか認められません。


当然こちらの方が、利率は低いです。


特定調停や貸金関係の裁判の場合、現状では、出資法に基づいた利率(29.2%)がそのまま適用される事はもうありません。


利息制限法、つまり低い方の利率で計算され直します。


その場合、月々の支払いの中で元本に充当される割合が増える為、29.2%近くの利息で計算するのに比べ、融資金の残高の減りが早い事になります。


つまり、ある程度の期間払い続けている人だと、出資法での計算に比べてかなり元本が減っている事になります。


場合によっては、残高が0円(利息制限法で計算し直した場合)になっているにも関わらず、まだ支払っているという状況が出来上がります。


で、これは法に基づかない利得であり、これを不当利得と呼び、取り戻す事が出来きます。


そして、これを取り戻す事を「過払い返還請求」と言います。




今回何が争われていたのかと言うと、一つはその過払い金返還の際に、上乗せされる損害金の利率を何%にするかという事でした。


ちなみに何故利息を付けて返さないとだめなのかと言えば、民法704条があるからです。



民法704条

悪意の受益者はその受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときはその賠償の責任を負う。



その際の利息ですが、民法を適用するなら5%(民法404条)、商法で考えるなら6%(商法514条)。


今回原告は6%の利息を付けて、過払い金を返せと請求していたようですが、判決では5%でええやろとなったようです。


過払い金に利息がつくのは、商行為ではないので、民法を適用しろいうことですね。


ちなみに民事債権の消滅時効は10年、商事債権の消滅時効は5年です。


時効に関しては、ちょっと伸びた感じでしょうか。


でもそのことより、もう一つ今回の判例で重要な事があります。


過払い金の返還時の損害利息以外にもう一つ、下された判断がありました。


それは次回で。