商法、ライブドアに絡めて | 南大阪・松原市で働く行政書士のブログ

商法、ライブドアに絡めて

年が明け2月になり、もう上旬も終わろうとしています。


2月になると思い出す事があります。


それは2005年2月8日のあの出来事。


ライブドアの時間外取引による、ニッポン放送株35%取得。


あれからいつの間にかもう2年が経ちました。


ものすごい変化ですね。


当時自分は司法書士の勉強をしながら、このニュースを見ていました。


「商法」などと言う、普段なじみのなかった法律が、この日を境にものすごい力を持つものなんだと気付きました。




あの時、何故フジテレビとライブドアがニッポン放送の株を奪いあったか。


それは当時、以下のような法律が存在したからです。




旧商法241条 


第3項

会社、親会社及子会社又ハ子会社ガ他ノ株式会社ノ総株主ノ議決権ノ四分ノ一ヲ超エル議決権又ハ他ノ有限会社ノ総社員ノ議決権ノ四分ノ一ヲ超ユル議決権ヲ有スル場合ニ於イハ其ノ株式会社又ハ有限会社ハ其ノ有スル会社又ハ親会社ノ株式ノ付テハ議決権ヲ有セズ



なんだかこれを読んだだけでは、全然意味がわからないですよね。


ちなみにこれが改正後の「会社法」ではこうなっています。



会社法308条


第1項

株式(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。


これでもあんまりよく解らないですね。


ものすごく簡単に説明すると、

A、Bという2つの株式会社が、お互いの株式を持ち合っている時に、

双方が相手の会社の株式を、25%を超えて(改正後は25%以上)持った場合、

その相手の言うことをきかなくても良いというような内容です。


あの当時、ニッポン放送はフジテレビの大株主でした。


企業規模や資本力においては当然フジテレビの方が上ですが、それでもなにか重要な事を決める場合は大株主であるニッポン放送の意見が強く影響する事になります。


この状況を打破する為には、フジテレビがニッポン放送の株を25%を超えて保有する事が必要でした。


そうすれば、フジテレビはニッポン放送の影響から逃れられたからです。


その為にフジテレビが行っていたのは、ニッポン放送に対するTOB

そこに割って入ったのが、ライブドア。


フジテレビに大きな影響を与えるニッポン放送。


そのニッポン放送の大株主になり、間接的にフジテレビに影響を与えたいライブドア。


それが顕在化したのが、2005年2月8日の時間外取引によるニッポン放送株35%取得でした。


ちなみにその時、MSCB 発行によりライブドアが動かした金額800億円。


ほんとに想像がつかない金額ですね。


その金額が動く元となったのは、旧商法241条の存在。


文字数にしてみて、118文字。


文章としても7行程の条文です。


たったこれだけの言葉が、日本で800億円以上のお金を動かしたんだと思うと、法律の力の凄さに触れたような気がしました。


なんだか面白くなかった「商法」が、すごく魅力的に見えた瞬間でした。




それにしても・・・・・・・・・わずか2年で世の中物凄く変わりましたね