女優のミア・ファローが『ローズマリーの赤ちゃん』で、主役のローズマリーを好演したと書いたが、まさにハマり役だった。
監督のロマン・ポランスキーは、ミアに体重を落とすよう指示し、妊娠後に髪を短くしたミアは、異様なまでに病的に見える。これによって悪魔崇拝者の陰謀が現実なのか、それともローズマリーの妄想なのか、曖昧にした演出がより効果的になった。
ミアは実生活で、30歳年上のフランク・シナトラと結婚していた。夫のフランクは、自身が主演する映画『刑事(でか)』で夫婦の共演を望んでいたが、ミアは『ローズマリーの赤ちゃん』を理由に、『刑事』への合流要請を拒否する。すると撮影中のスタジオにフランクの弁護士が突然現われる。重大な案件と感じたポランスキーが休憩を取ると、ミアは楽屋でフランクからの離婚届を渡される。
撮影終了後、傷心のミアは妹のプルーデンスに誘われて、導師マハリシの指導を受けるべくインドへと旅立った。そこへ後からビートルズのメンバーやドノヴァンが加わり、アシュラム(道場)は大騒ぎとなる。ビートルズの『ホワイト・アルバム』に収録された「ディア・プルーデンス」という曲は、言うまでもなくジョン・レノンがミアの妹について歌ったものだ。
ミアはマハリシの下で修業に励もうとするが、地下の洞窟に下りて二人きりで瞑想した際、マハリシがミアの腕をつかもうとしたことで恐怖を感じ、逃げ出してしまう。
妹に相談すると「今のミアの意識レベルでは、たとえイエス・キリストその人に抱擁されたとしても、いやらしいことと誤解するかもしれないけど」(『ミア・ファロー自伝』集英社1998年)と言われてしまう。映画のローズマリーのようにミアは妄想にとらわれたのだろうか。
アシュラムを出たミアは、一人でインドをさまようが、やがて弟のジョニーを呼び寄せ、南ゴアへ向かう。そこで偶然再会した兄の親友が、海岸に建てた小屋に住んでいるというので、一緒に滞在することになる。





